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TPP協議  安易な譲歩は許されぬ

 日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に向けた日米両政府の事前協議が7日から始まる。
 TPPに日本が加われば、日米両国で参加国の国内総生産(GDP)の9割を占めることになる。
 月内にTPPに参加する9カ国すべてと協議入りするが、日米協議の成否がTPPの行方を左右するといってよい。
 米側から、農業や自動車などの市場開放で強硬意見が噴出するのは必至だ。日本政府は国内に反対や慎重論がなお根強い状況を踏まえ、安易に譲歩してはなるまい。
 米側の真意や出方を慎重に見きわめ、主張すべきは強く主張すべきだ。進展次第では参加も見合わすつもりで協議に臨んでほしい。
 米政府が協議に先立って公募した米側関係業界の意見では、寄せられた113件のうち9割近くが日本の交渉参加に肯定的だった。
 しかし意見の多くは、すべての物品・サービスを自由化交渉のテーブルに乗せるのを前提条件に挙げている。
 日本の交渉参加に反対を表明している自動車業界は、日本側に米国車の輸入枠拡大や軽自動車規格の廃止などの注文をつけた。
 保険業界は日本郵政グループのかんぽ生命保険に対する優遇措置の見直しを、製薬業界も薬価算定ルールの改革を強調している。
 産業界の声を受け米政府は、TPPで原則とされる「例外なき関税撤廃」を前面に押し出し、日本に譲歩を迫る戦術に出よう。
 日本政府は目先の利害得失にとらわれず、将来も見すえて国益に合致するかどうかを視座に、真正面から論戦してほしい。
 TPP参加によって外国からコメなどの安い農産物が輸入されれば、農家は大きな打撃を受けることが指摘されている。輸入食品の安全性を懸念する声もある。
 医療の自由化で保険適用と適用外を併用する「混合診療」の全面解禁や公共事業への外国企業参入など、米側の要求は多岐に及ぶことが予想される。日本の産業構造や国民生活を一変させかねない難題ばかりだ。
 政府はいまだに、これらの懸念や疑問に答えていない。具体的な国内対策論議も軌道に乗っていない。
 協議の情報を十分に開示し、国会や国民の声を反映させて合意形成に努める必要がある。協議の窓口となる官僚の独断専行は許されない。
 そもそもTPPだけが自由貿易を推進する枠組みではない。東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とする経済連携や2国間協定の推進など、多様な選択肢の一つにすぎない。米国への配慮を最優先するあまり、一つの路線のみにこだわっては、真の自由貿易圏づくりには結びつかない。

[京都新聞 2012年02月07日掲載]

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