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辺野古調査再開  中断し、民意に向き合え

 沖縄防衛局はきのう、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先とする名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向け、海底ボーリング調査を再開した。地元の意思を顧みない強行である。
 沖縄の民意は、昨年11月の知事選や翌12月の衆院選の沖縄4小選挙区で辺野古移設反対派が全勝したことではっきりしている。なのに政府は強硬姿勢を変えず、話し合いにさえ応じようとしていない。
 地元住民は反発を強めており、このままでは対立がエスカレートするだけだ。政府はこれ以上、亀裂を深めてはならない。調査を中断し、ただちに沖縄と対話を始めるべきだ。
 調査は昨年8月に始まり、12カ所で実施したが、翌9月から悪天候や知事選への配慮から調査を中断。今年1月から再開に向けた準備作業を始めた。
 これに対し、移設に反対する翁長雄志知事は、前知事による埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を設置し、検証中は海上作業を見合わせるよう防衛局に求めていた。
 翁長氏は対決姿勢を強め、埋め立て承認の取り消しを視野に入れている。加えて防衛局が調査再開のため海中に投入した大型コンクリート製ブロックが、岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を傷つけているのを潜水調査で確認したとして、岩石掘削などの作業に関する許可の取り消しも検討している。
 政府はまず、強硬一点張りの姿勢を改めることだ。
 安倍晋三首相は選挙結果を受けて「民意を真摯(しんし)に受け止める」と語ったはずである。ところが翁長氏が再三にわたって上京し、移設問題の協議を求めても、いまだに会おうとしていない。
 沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅義偉官房長官は接触を模索する動きもみせるが、歩み寄る気配はなく、調査再開の日も「環境保全に万全を期しながら粛々と進める」と語った。
 「辺野古が唯一の選択肢」というなら、その根拠をきちんと翁長氏に説明すべきだ。それさえしないのは、政府の責任放棄であり、沖縄の民意を無視するのに等しい。
 この間、辺野古の米軍キャンプシュワブ前では、抗議行動の中でけが人や逮捕者も出ている。
 政府は地盤の強度や地質を調べた後、夏ごろにも埋め立て工事に着手する構えだが、強行すれば沖縄を傷つけるだけでなく、政権の命取りにもなりかねない。民主政治の質が問われている。

[京都新聞 2015年03月13日掲載]

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