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アジア投資銀行  直接の関与こそ有益だ

 中国が主導して年内設立を目指す「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に、欧州の主要国などが相次ぎ参加に動いている。立ち上げメンバーとなるには3月末までの参加表明が必要とされるが、日本は慎重な姿勢を続けている。
 中国の国際的な影響力拡大を警戒する日米の協調、冷え込む日中関係も背景にあるとみられる。だが、途上国の交通網整備などに融資してアジアの発展基盤を広げうる計画である。アジア第2の経済力を持つ日本が加わらないのは不自然であり、得策ではない。運営の公正さや透明性への懸念を拭い、有益な国際機関とするためにも直接関与の方向性を追求すべきだ。
 AIIBは中国の習近平国家主席が2013年に設立を提唱し、東南アジアや中東などの27カ国が創設メンバーに名を連ねた。当初の資本金約500億ドル(約6兆円)のうち中国が最大出資国となり、本部は北京、総裁も中国人の見込みだ。米国は国際通貨基金(IMF)や世界銀行で主導してきた国際金融秩序への挑戦だとし、否定的立場を主要国に伝えてきた。
 だが今月半ば、英国が参加表明し、ドイツやフランス、イタリアなどが続いた。カナダも参加を検討し、主要7カ国(G7)で日米が取り残される恐れがある。各国の参加は成長著しい中国との関係強化が狙いとはいえ、中国の支配を抑えて幅広い国際機関になる可能性も開いたと言える。日本の経済界や与党からも参加の検討を求める声が出ている。
 政府は参加の可能性を否定しないが、安倍晋三首相は「公正なガバナンス(統治)を確立できるのか」と疑念を示し、解消されなければ困難との立場だ。中国が融資審査に強い影響力を持って自国に有利に用いたり、環境や人権への配慮を欠いた融資を不安視する。
 ただ運営ルール作りから参加し、内から監視することも現実的な対応である。国際的な信用を得るために中国も懸念の声を無視できないはずだ。
 アジアではインフラ建設の需要に対し資金不足が指摘されている。AIIB設立の背景には、日米が主導してきたアジア開発銀行(ADB)の融資体制や、中国の発言力が限られる運営への不満もある。
 日米はADBとの共同融資など協調関係も探りつつある。かつて世界貿易機関(WTO)加盟を日本が後押ししたように、巨大な経済力を持つ中国を国際的ルールに引き入れる視点も重要だ。日本は能動的役割を果たしたい。

[京都新聞 2015年03月27日掲載]

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