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国会の秘密監視  「最後の砦」の自覚持て

 政府は特定秘密保護法の運用状況をまとめた初の報告書を国会に提出した。また、省庁では、職員らが特定秘密を扱えるかどうかを調べる「適性評価」が始まっていることも分かった。
 衆参両院の情報監視審査会が、「秘密」の妥当性や省庁の法運用などに問題がないかを調べる。
 何が秘密かさえ分からず、憲法が保障する国民の「知る権利」を損なうとして国民の多くが反対するなか、強行採決された法である。案の定、報告の中身は極めて不十分と言うほかない。
 国会の審査会は唯一、行政府の外から秘密に触れられる機関となる。国民を代表する立法府として、与野党の立場を超えて官僚を監視する「最後の砦(とりで)」の自覚を持ち、職責を果たすよう求めたい。
 報告は年単位のため、今回の対象は法施行された昨年12月10日から同月末までの22日間。情報漏えい防止を目的とする特定秘密の指定は、防衛省や外務省、内閣官房など10機関の382件だった。文書グループを1件としているため、文書数では約19万に上る。
 中身は暗号(113件)や情報収集衛星関連(85件)、武器関連(57件)とするだけで、残りは類型さえも明らかにしなかった。
 報告書には、有識者でつくる「情報保全諮問会議」の意見として「運用状況を具体的に示すべき」との注文も付したが、政府は検討するとの姿勢にとどまる。内閣府に「独立文書管理監」なども置かれているが、具体的な活動は判然としない。やはり、行政府内でのチェックには限界がある。
 衆参の情報監視審査会は秘密にかかわる文書をすべて読める環境を整え、国民の側に立って本来知らせるべき情報が官僚の恣意(しい)で秘密になっていないかなどを、丁寧に検証せねばならない。
 報告書は職員の適性評価実施はないとしたが、今年1月からは始まっている。プライバシー侵害の懸念が大きい。審査会は検査の中身や手法も十分点検したい。
 ただ、計16委員のうち与党議員が衆院6人、参院5人を占める。指定解除などの勧告や秘密提出を求める権限はあるが、完全な強制力がない。本当に審査会が機能するのか、危惧(ぐ)される。十分な監視が果たせないようなら、法を廃止・改正できるのも国会である。
 非公開の審査会は、年1回の活動報告書だけの公表という。政府に「秘密」のお墨付きを与えるだけになれば、主権者たる国民の目が許さないと肝に銘じるべきだ。

[京都新聞 2015年06月27日掲載]

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