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四条通歩道拡幅  「人中心」の道路政策に

 京都市中心部の四条通(川端-烏丸間、約1・1キロ)で、歩道の拡幅工事が進んでいる。
 歩道の幅を約1・8倍に広げ、4車線を2車線に減らす。公共交通を優先して流入車両を抑制し、歩行者の回遊性を高めることで、にぎわいにつなげる狙いだ。
 大勢の花見客が訪れた今春、四条通は激しい渋滞でバスが大幅に遅れ、市民から苦情が出た。門川大作市長は「想定を超える交通集中だった」と謝罪した。見通しが甘かったことは明らかだ。
 現在、目立った混雑は起きていないが、工事は10月末まで続く。再び大渋滞を起こさないよう、対策には万全を期してほしい。
 車線を減らすことには批判的な意見もある。ただ、歩行者の通行エリアを広げ、道路の使い方を自動車中心から人間中心にシフトさせる方向性は、環境や人口減少への対応などの課題を考えれば、自然な流れといえるのではないか。
 大阪市でも歩道を広げる試みが始まっている。中心部を南北に貫く幹線の御堂筋では、一部の区間で側道の自動車通行を禁止し、自転車と歩行者の専用空間とする計画を進めている。御堂筋の自動車交通量が40年前に比べ4割減少する一方、自転車利用が7倍近くに増えている現状があるという。
 自動車に過度に依存せず、公共交通や自転車、徒歩などを賢く使う「モビリティ・マネジメント」の考え方によるまちづくりが、富山市など各地で始まっている。
 京都市でも、住民が自発的に公共交通を活用し、地域に定着させていく活動が芽生えている。
 北区・柊野学区や右京区・南太秦学区では住民が要望して設けられたバス路線を維持するため、積極的な利用促進策を進めている。
 京都市は市電を廃止してバスに置き換え、市中心部に大規模な公営駐車場を設けて車を市内に呼び込んできた。自動車中心の交通政策だったといえるだろう。
 四条通が大渋滞した春の花見シーズン直後に市が行った調査では、通過車両の半数以上が他府県ナンバーだった。
 道路は、渋滞なく通れることが重要だ。しかし、都市の目抜き通りには、人が集い、にぎわいが生まれ、地域経済を養う役割もあるはずだ。
 その意味で、四条通の歩道拡幅は、交通を人間中心にとらえ直す政策転換の象徴ともいえる。
 市は、歩道を広げる意味や目的を、将来の市全体の自動車抑制策とも併せて地道に説明していく必要がある。

[京都新聞 2015年07月21日掲載]

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