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相次ぐ閣僚失言  言葉の軽さに資質疑う

 安倍政権の閣僚による暴言、失言が止まらない。
 今度は山本幸三地方創生担当相から信じ難い暴言が飛び出した。政府の観光振興を進める上で「一番のがんは文化学芸員」と発言し、批判が強まっている。発言を撤回して謝罪したとはいえ、いったん口に出した言葉の責任は免れない。国政に携わる閣僚、議員としての資質を疑わざるを得ない。
 山本氏は16日に大津市内で開かれた地方創生セミナーで、訪日観光客らに文化財などの説明、案内が不十分と批判。学芸員を指して「この連中を一掃しないと駄目」と述べた。資料の保管や展示、調査などに携わる学芸員に対する無理解が生んだ侮辱であり、看過できない。闘病中のがん患者らへの配慮も欠いた言葉だった。
 さらに問題なのは自らの事実誤認に反省が感じられない点だ。山本氏は二条城に「過去、全く英語の案内表記がなかった」と指摘したが、京都市は英文パンフレットなどを用意し、看板も増やしてきた。だが、謝罪後も英語表記を「不十分」と批判している。
 大英博物館の改装反対運動や、文化財の建物での火や水の使用禁止も事実に基づかず都合よく自説に援用。批判を受ければ撤回する。それで済む問題ではない。
 山本氏は「観光マインドを持ってもらう必要があるという趣旨だった」と釈明したが、観光振興への文化財の安易な利用が強調されるのも困る。アベノミクスを掲げる安倍政権の施策に通底する経済至上主義の発想が気がかりだ。
 嘆かわしいのは山本氏だけではない。今村雅弘復興相は福島原発事故に伴う自主避難者の帰還判断は「本人の責任」と発言し、謝罪と撤回に追い込まれた。稲田朋美防衛相も大阪市の学校法人「森友学園」の訴訟に「関与していない」との発言を撤回。金田勝年法相は「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、「国会提出後に議論すべきだ」と国会論議を封じる文書を発表し「不適切だった」と謝罪した。
 これほど問題発言が続いては、内閣のたがが外れていると言うしかない。そもそも閣僚としての力量に疑問符が付く人たちがなぜ登用されたのか。「安倍1強」と言われる政治状況下、政権全体に気の緩みやおごりが透ける。
 野党が山本氏ら問題閣僚の一掃を求め、首相の任命責任を追及するは当然だろう。閣僚としての責任と言葉の重みを、いま一度かみしめてもらいたい。

[京都新聞 2017年04月20日掲載]

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