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高浜原発再稼働  京滋住民の不安消えず

 関西電力が高浜原発4号機(福井県高浜町)を17日午後、再稼働させた。昨年3月の大津地裁による運転差し止めの仮処分決定を今年3月に大阪高裁が取り消したのを受け、約1年3カ月ぶりの稼働になる。関電は司法の「お墨付き」を得て手続きを進めてきたが、事故時の避難経路などについて京都や滋賀の住民が提起してきた問題は積み残されたままだ。
 高浜4号機は昨年2月に再稼働したが直後の電気系統トラブルと大津地裁決定を受け停止していた。大津地裁は差し止め理由として、地震や津波対策などで関電の安全性の立証が不十分と指摘。原子力規制委員会の新規制基準にも不十分な点があるとしていた。
 大阪高裁はこれに対し抗告審決定で、新規制基準と関電の安全対策は福島第1原発事故の教訓を踏まえている、として再稼働を認めた。
 だが、規制基準は基準となる規模の地震に対する原子炉や原発施設の強さの指標だ。避難経路の安全性などは考慮にいれていない。クリアしたとはいえ、どのような事態でも安全とは言い切れない。
 昨年8月、国と京都府、滋賀県、福井県が合同避難訓練を実施したが、船やヘリコプターの避難が悪天候で中止された。今年1月には滋賀県北部の大雪で事故時の緊急輸送道になっている国道161号が長時間、大渋滞した。避難計画がその日の天候に左右される実態が浮かび上がった。
 再稼働のお墨付きを得た後の関電の姿勢にも疑問符が付く。
 高浜原発では昨年2月に電気系統トラブルや水漏れが起きたのに加えて、今年1月にはクレーンの倒壊事故も起きている。
 関電は一連のトラブルについて京都府や原発周辺の京都府内市町と再発防止策を協議している。その一方で着々と再稼働手続きを進めてきた。山田啓二京都府知事は「不信感を抱かざるを得ない」と苦言を呈したが、同様の思いを持つ住民は少なくないだろう。
 安倍政権は原発の再稼働方針を明確にしており、国内で稼働する原発は九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、四国電力伊方3号機(愛媛県)に次ぎ4基目となる。
 関電は高浜3、4号機が営業運転に入った段階で電気料金を引き下げる計画という。今回の再稼働で一時的には財務改善が進むとみられているが、原発に依存する経営体質から脱却した方がよいのではないか。具体的な脱原発の道も早期に示してほしい。

[京都新聞 2017年05月18日掲載]

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