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PKO撤収  参加のあり方議論せよ

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加してきた陸上自衛隊の部隊が全て撤収した。安全保障関連法に基づき初めて付与された「駆けつけ警護」を実施することはなかったが、現地の治安状況から、憲法やPKO参加5原則との整合性が問われた。今後は、南スーダンでの活動の検証を踏まえ、PKO参加のあり方そのものも徹底的に議論する必要がある。
 長期内戦を経て独立したばかりの南スーダンへの派遣は2012年1月、当時の民主党政権が決定した。その後、5年余りの間に陸自施設部隊の延べ3900人が派遣され、計約260キロの道路補修を担ってきた。
 だが13年末から政府軍と反政府組織が、自衛隊部隊の拠点がある首都ジュバで内戦状態に突入。昨年7月には270人以上が死亡する大規模な争いが起きたとされる。各国のPKO部隊の主要な任務は住民保護に移り、中国部隊などには死傷者も出た。
 日本政府は、こうした治安悪化が撤収の理由ではないとしているが、実際には活動もままならないことが増えたという。隊員の犠牲を回避するためにぎりぎりのタイミングだったとみられる。
 今年は日本のPKO参加の根拠法であるPKO協力法の成立から25年の節目にあたる。南スーダンからの撤収で自衛隊を派遣するPKOはゼロになったが、日本はこれまでに27件のPKOに延べ約1万2000人を送った。その際の基本的条件が「当事者同士の停戦合意」などからなるPKO参加5原則だ。
 5原則は当初、停戦監視や選挙監視などを想定していた。しかしその後、PKOは大きく変容している。00年には国連の専門家パネルが「公平性の原則に基づく武力行使」などを盛り込んだ報告書を提出。より積極的な武力行使を事実上、認める方向にかじを切った。背景にはルワンダ内戦や旧ユーゴ紛争でPKO部隊が住民虐殺を止められなかった反省がある。
 こうした中で日本は今後、自衛隊員の犠牲を伴う危険な任務にも派遣するのかどうかが問われている。PKO以外の国際協力のあり方を選択する道もある。
 参加のあり方を考えるためには情報公開が必要だ。南スーダンPKOでは、陸自の活動の「日報」を防衛省が組織的に隠蔽(いんぺい)した疑惑が浮上した。自衛隊が直面した危険はどのようなものだったのか。正確な実態を国民が共有しなければ理解も議論も深まらない。

[京都新聞 2017年05月30日掲載]

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