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トランプ氏来日  貿易不均衡では難題も

 トランプ米大統領が来日し、安倍晋三首相と会談した。共同記者会見では、北朝鮮の核実験やミサイル発射を「平和と安定に対する脅威」と非難し、日米の連携を強化して対処することで、首相と一致した、と述べた。
 一方、両国の通商問題については、日米財界人との会合で「日本との貿易は公平でなく、開かれていない」と訴えた。
 安全保障分野で、日米同盟の強固な結束を示した、とはいえそうだ。しかし、「米国第一」を追求するこれまでの姿勢は、崩してはいない。
 今後、日米間に生じる難題が、明らかになったようだ。
 トランプ氏の来日は、就任後初めて。首相との直接会談は5回目となる。昨年の大統領選の期間中は、日本を含む同盟諸国の防衛負担に不満を表明していたが、会談の回を重ねるに従って、北朝鮮情勢への認識を深めたのだろう。
 北朝鮮の核・ミサイル開発をやめさせるため、圧力を最大限に強める方針や、中国がさらに大きな役割を果たすことが重要だとする認識を、首相と確認した。
 北朝鮮をテロ支援国家に再指定する米政府内での検討状況についても説明した。
 また、北朝鮮による拉致被害者らとも面談し、解決に向けた努力を約束した。
 ただ、北朝鮮のミサイル発射時に、「日本は迎撃が必要だ」とする最近の発言などには、相変わらず危うさが付きまとう。
 親密の度を深める首相だが、どこまで意見を聞き入れてもらえるのか、見定めておくことも必要ではないか。
 会談では、日米間の貿易不均衡を巡り、「日米経済対話」の枠組みで、協議を継続することで合意した。
 トランプ氏は、中国に次ぐ貿易赤字の相手国となっている日本に、不満を募らせている。農産物の市場開放などに向けて、日本の譲歩を引き出したい意向だ。
 日米経済対話は先月も行われ、麻生太郎副総理兼財務相と協議したペンス米副大統領は、2国間の自由貿易協定(FTA)交渉に言及した。今回の合意を受けて、経済分野での米国の攻勢がさらに強まりそうだ。
 日本は、環太平洋連携協定(TPP)締結を、米国の離脱表明後も残る11カ国で続けている。地域の安定につながる多国間協定の重要性について、首相はトランプ氏の理解を得るべきだろう。

[京都新聞 2017年11月07日掲載]

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