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「ここ滋賀」  湖国の魅力語る拠点に

 滋賀県が昨年10月末に東京・日本橋に設けた情報発信拠点「ここ滋賀」の機能強化に乗り出した。
 2月までの約4カ月間の経済効果を5億円超と試算し、好調さをアピールするが、「一等地」ゆえのコスト高から費用対効果を疑問視する声もある。従来のアンテナショップの枠を超えた地域ブランドの戦略拠点として、地元経済や観光への波及効果を示せるかどうか。これからが正念場だ。
 ここ滋賀は、2階建て延べ約280平方メートルの建物を県が借りて開設した。特産品などを販売し、バーで33蔵元の地酒や近江の茶などを味わえるほか、湖国の味が楽しめるレストランも備える。
 約4カ月間で計22万3千人が訪れ、年間来店者数の推定は当初目標(45万人)を上回る58万人。来店客数や売上高、メディア掲載による情報発信などから、経済効果を5億3600万円とし、「費用対効果はプラス」という。
 2020年の五輪開催を控えた東京では、自治体のアンテナショップ開設が相次ぐ。地域活性化センターの調査によると、昨年4月時点で72店舗。10年間で倍増した。自治体や特産品のPRにとどまらず、観光や田舎暮らしのPR、移住希望者の呼び込みと目的は多様化し、市町単位で開設するところもある。
 今年2月にオープンした徳島県のアンテナショップ「ターンテーブル」は、バルや相部屋を含むホステルを併設する。徳島の食を味わい、県産材や阿波の青石をあしらった空間で語り合いながら徳島ファンを増やす狙いだ。
 家賃の高さ、人事異動による頻繁な職員の交代、効果測定の難しさといった課題は、どのアンテナショップにも共通する。それぞれ、費用対効果と存続の必要性を議会に厳しく問われ、試行錯誤を繰り返しながら、地方の魅力をより強く発信してきた。
 滋賀の酒を売ろうとするならば、蔵元の特徴や歴史、地域性を自分の言葉で語れなければならない。消費者はモノの後ろに広がる物語にこそ魅力を感じる。種類を揃えるだけでは不十分だ。同じように、歴史講座は、開催自体を目的とするのではなく、滋賀の歴史舞台へ観光地へ、いざなう入り口ととらえて内容や提案の仕方を考えていくべきだろう。
 ここ滋賀が取り組み、改善しなければいけないことは山のようにある。すでに本年度の事業計画は盛りだくさんだ。どう変わっていくのか。注視していきたい。

[京都新聞 2018年04月16日掲載]

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