社説 京都新聞トップへ

近江八幡市長選  全力挙げて市政刷新を

 近江八幡市長選で元衆院議員の新人小西理氏が現職の冨士谷英正氏を破って初当選した。最大の争点となった市役所新庁舎建設計画について「豪華すぎる」と批判し、見直しを公約したことが市民に支持された。現職相手にダブルスコアに近い大差をつけた結果は有権者が市政刷新を明確に求めた証左と言えよう。
 ただ、投票率は49・97%と前回に続いて50%を割った。有権者の関心を集めたとは言いがたく、政策論議が深まらなかったのは残念だ。
 建設計画は2020年の完成を目指して現地改築で進める。約81億円で契約を結び、2月に着工している。
 小西氏は計画見直しを掲げる一方、その財源を子育てや教育、福祉に回すと訴えて若年層を中心に支持を広げた。人口減少時代を迎えた中で、庁舎規模のあるべき姿や、子育てなど少子化対策充実に関して市民の感情やニーズをうまくすくい上げた。
 加えて、冨士谷氏が自民、公明両党などの推薦を得たことで、森友、加計学園問題を巡る安倍政権への批判が追い風になったとの見方が出ている。
 対する冨士谷氏は計画について「議会で認められるなど手続きを踏んでいる」と主張したが理解を得られなかった。合併前の旧近江八幡市時代も含めて11年以上に及ぶ首長経験が、逆に清新さを欠くと有権者に映った面があるのも否めない。
 現庁舎は老朽化しており、耐震面などで何らかの対策が必要なのは間違いない。今後、小西氏は、公約に沿って工事を中止するなら、具体的な代替案を早急に提示する必要がある。
 その過程では議会とのあつれきも生じることが予測される。選挙結果は、冨士谷市政を追認してきた議会に対する有権者の批判とも受け取れる。小西氏は議会と折り合いを付けながら、市民生活に影響を及ぼすことがないような市政運営を模索してほしい。
 市には近江商人以来の自治の精神が息づいている。この精神を発揮し、1970年代、水質が悪化していた八幡堀の再生を住民主体で実現させたことが、その後、地域が飛躍する原動力の一つとなった。小西氏には、自治の精神を生かして住民主体のまちづくりを後押しする施策に注力するとともに、有権者の負託にこたえるべく市政刷新に全力を挙げ、結果を出してもらいたい。

[京都新聞 2018年04月17日掲載]

バックナンバー
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)