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日中対話  関係改善へ努力続けて

 関係改善に向けた着実な一歩となることを期待したい。
 日中両政府が東京都内で、貿易や投資などの課題を議論する閣僚級の「ハイレベル経済対話」を約8年ぶりに開いた。日中外相会談も行われ、首脳の往来を進めることで一致した。中国外相の単独来日は約8年5カ月ぶりだ。
 沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立などで冷え込んでいた両国政府間の雪解けの兆しを感じさせる。
 経済対話では米中の経済摩擦を念頭に自由貿易体制の強化が重要との認識で一致し、外相会談では北朝鮮の核・ミサイル廃棄へ国連制裁決議の完全履行と日中の緊密な連携を確認した。
 細くなったパイプを元に戻すには、両国政府要人によるやりとりを重ね、着実に成果を残す必要がある。「戦略的互恵関係」に根差した対話努力を両国に求めたい。
 関係改善は、日中双方が求めていたとみることができる。
 日本政府には、いずれ経済規模で米国を抜くと予測される中国に対抗ばかりしていけないとの判断があるという。中国政府も、米国が中国製品に高関税を課すなどの強硬策を示していることから、日本との関係改善で日米の協力を突き崩したい思惑がうかがえる。
 すでに、安倍晋三首相は昨秋、中国が進める経済圏構想「一帯一路」を支援する用意があるとの認識を習近平国家主席に伝えた。安倍氏が掲げる外交指針「自由で開かれたインド太平洋戦略」についても、中国封じ込めと取られて警戒されないように努めてきた。
 経済を軸に、日中関係を再構築しようとの意向が読み取れる。だが、ことはそう簡単ではない。
 北朝鮮をめぐる南北、米朝の首脳会談を前に先月、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と習氏の電撃的な中朝首脳会談が行われた。
 中朝接近は、北朝鮮への国際的包囲網を崩し、核開発の容認につながる懸念がある。
 尖閣諸島周辺の領海で中国公船の侵入が相次ぎ、太平洋をめぐって習氏らが覇権主義的な言動をとっている現実も、関係改善への障害だ。日本の次期海洋基本計画案は、インド太平洋戦略に基づいてシーレーン(海上交通路)の安全確保を図る方針で、安全保障面では中国への警戒感を残している。
 安倍氏はきょうから日米首脳会談に臨むが、経済面を中心とした日中関係改善をトランプ大統領がどう受け止めるかは未知数だ。
 難しい局面だが、米中の間で独自の立ち位置を探るしかない。

[京都新聞 2018年04月17日掲載]

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