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溶融核燃料  廃炉計画見直しが急務

 東京電力が水中ロボットを使って3号機の原子炉格納容器内を撮影し、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の可能性が高い複数の物体を確認した。
 1、2号機も含め、メルトダウンした福島第1原発でデブリの可能性が高い物体を確認したのは初めてだ。事故の実態解明や廃炉作業の進展に向けた重要な一歩といえよう。
 原子炉の損傷は想像以上に激しく、原発事故の深刻さが改めて浮かび上がった。廃炉が当初の計画通りに進まないのは、もはや明らかだ。政府や東電は早急に計画を練り直す必要がある。
 水中ロボットは、3号機の原子炉圧力容器の直下に到達して溶け落ちてつらら状になった塊や、崩落した設備などに着いた塊を撮影した。いずれも溶けた核燃料とみられる。
 とはいえ、把握できたのは燃料デブリの一部に過ぎない。圧力容器の下にあるはずの作業用足場などが、映像では見当たらない。地震や原発事故で脱落、散乱した可能性がある。燃料デブリや壊れた設備がどこに、どのようにあるのか。取り出し作業のためには、全体像を把握する必要がある。
 3号機の格納容器は1、2号機に比べ下部の損傷が少ないとみられ、冷却水がたまっている。このため水中ロボットが比較的自由に動け、撮影に成功した。1、2号機の状況は手がかりをつかむことすら厳しいのが実情だ。
 こうした状況で、廃炉計画は政府や東電の立てた予定通りに進むのか。
 デブリの取り出し方針は今年夏ごろ決定する。2018年度前半に最初の一基で具体的な取り出し方法を確定させ、21年中に作業を始める-。政府と東電はいまもこんな計画を掲げている。
 予定通りなら、この時期は取り出し方針を決める時期にあたる。だが、実際にはデブリの状況の一端が明らかになったに過ぎない。
 それにもかかわらず、当初計画を掲げ続けるのには、あまりにも無理がある。原発事故の規模、深刻さを隠そうとしている。そんな疑いを抱かれても仕方がないだろう。
 原発事故から6年以上を経て、西日本で原発の再稼働が続く。安全性を確保した、という電力会社の主張を裁判所が認めている。
 だが、本当の意味で安全なのか。再稼働議論には、ひとたび事故が起きれば、廃炉が極めて困難なことも論点に加えるべきではないだろうか。

[京都新聞 2017年07月24日掲載]

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