先輩社員からのメッセージ

報道の力信じて、現場を駆け回る


報道部 冨田芳夫
茨城県出身 2011年入社
京田辺・学研総局などを経て、14年から現部署
報道部 冨田芳夫

 「容疑者、もう入ってますよね」。京都市内で男性が刺殺された殺人事件から丸1日を迎えようとしていた深夜。関係者らへの取材から警察が複数の男を任意で調べている情報をつかみ、所轄署幹部に質問をぶつけた。「知らん」。口ぶりや表情から、真意はうかがえない。締め切りが迫る中、キャップに「打てません」と力なく電話で報告した。

 半年後、事件発生当初に任意の調べを受けていた男たちが強盗殺人容疑で逮捕された。あの時に報じていれば「特ダネ」だったかもしれないが、捜査情報を裏付けできるほどの取材網を持っていなかった。取材先と丹念に信頼関係を築く。事実に迫るには、地道な日々の積み重ねが必要だと痛感した。

 引っ込み思案で人見知り。それでも学生時代に新聞記者を志したのは、冤罪事件で30年近く服役させられた男性の話を聞く機会があり、身近な権力を不断に監視する報道の力が欠かせないと思ったからだ。

 現在、京都府警を担当しているが、2016年4月の熊本地震では、発生直後に先輩記者たちと現地に向かった。余震が続く中、地割れした道路を進み、山間部の集落に入った。高齢者が身を寄せる福祉施設で、はばかりながらカメラを構え、瓦が落ちた民家では住民と一緒にがれきの撤去を手伝い、目の前の窮状を記事にした。「忙しいときに何で来るのかと思ったけど、記事のおかげで物資が届きました」。後日、福祉施設職員からいただいた手紙に救われた気持ちになった。

 大きな事件が発生すれば昼夜を問わず現場を駆け回らなくてはならないが、昨年は長男の誕生に合わせて1カ月間の育児休業を取得した。先輩や同僚の理解もあり、家庭と仕事の両立ができた。

 人と会い、話を聞く。いくらネットが発達しようと現場の記者の仕事は変わらない。そして社会には、取材しなければ明るみにならない事実がある。報道の力を信じて、読者を力づけられるような記事を書いていきたい。


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