先輩社員からのメッセージ

壁を乗り越えようとする姿、伝えたい


運動部 伊藤恵
福井県出身 2014年入社
報道部、滋賀北部総局を経て、17年から現部署
運動部 伊藤恵

 運動部では中高生からプロまで、京都、滋賀ゆかりの選手の活躍を追っている。トップレベルの試合に加え、本番を迎えるまでの地道な練習や、選手のさまざまな表情に接することができるのが、記者の醍醐味だ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けスポーツ界が特別な熱を帯びているなか、代表入りを目指し、海外選手と勝負するための努力を重ねる選手たちを見ていると、五輪の舞台を想像してわくわくさせられる。

 先輩記者たちと取材した、2017年6月の陸上日本選手権が印象に残っている。滋賀県出身で、京都市の高校を卒業した桐生祥秀選手が男子100メートル決勝に臨んだ。別の種目を担当していた私も固唾をのんで見守った。結果は10秒26の4位。世界選手権代表入りが絶望的となり、雨の競技場にたたずんだ桐生選手は明らかにショックを受けていた。日本人初の9秒台をマークしたのは、そのわずか2カ月半後のことだ。祝福する地元関係者の声を電話で取材しながら、アスリートの底力にただ驚いていた。

 勝者だけを取材するとは限らない。あと一歩で全国大会出場を逃したチームや、けがで出場を断念した選手に話を聞くこともある。そこから奮起し前に進む姿には、取材する側も背筋が伸びる。

 初任地の滋賀北部総局(近江八幡市)では、琵琶湖の東側に位置する小さな町々を担当した。人口減少や地場産業の後継者不足、役所の不祥事など、記事にするのは明るい話題ばかりではなかったが、それでも、よりよいふるさとをつくろうと懸命に働く人たちに出会った。マイノリティーの立場から声を上げる人、見えないところで苦境に耐える人もいた。「あなたの記事がきっかけで『一緒にやろう』という連絡があった」と言われることが何よりうれしかった。

 毎日のように、知らなかったこと、知らなかった人に出会う。無知のために恥をかき、落ち込むこともある。でもそんなことも忘れてしまうくらい、新聞記者はやりがいのある仕事だ。壁を乗り越えようとする人の姿を伝え、時には冷静な見解を示す。応援団のような記者を目指したい。


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