Kyoto Shimbun 1998.3.2

  
広がれ環境ネット
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深泥池を守る会

池の保全策を市に提案 

 1990年に、深泥池(京都市北区)西側の市道の拡幅計画が持ち上がった。「深泥池の自然に悪影響が出るのでは」と危ぐした元中学校の理科教師の田末利治さん(68)らが発起人となり、同年6月、研究者や市民に呼びかけてシンポジウムを開催したのが、会結成につながった。

深泥池を守ろうと、定期的に観察を 
続けている会員もいる(京都市北区)
 深泥池は、西日本では珍しい浮島や、氷河期からの生き残りとされる動植物が数多く生息しており、27年に国の天然記念物に指定された。88年には昆虫なども含めた生物群集にまで指定の範囲が広がり、その価値が改めて評価されている。

 それだけに、道路の拡幅計画は納得いかないものだった。シンポで、研究者らが深泥池の貴重な生物や、10万年以上といわれる歴史、保存の意義などを説明し、会への参加を呼びかけたところ、約50人がその場で賛同したという。

 会の主な活動は、拡幅計画の見直しを行政に働きかけているほか、年2回の深泥池の観察会や学術的な勉強会、2―3カ月ごとの会員向けニュース発行などがある。

 結成以来、続けている観察会では、20年以上、深泥池を見守っている田末さんや、研究者の会員らが中心となり、池の生き物や水質、周辺の山林などを観察している。観察会の後には、自主的に池周辺の清掃も行っている。

 また、深泥池の素顔を知ってもらおうと、会員らの研究を分かりやすくまとめた本格的なパンフレットを発行。四季折々の池の表情や動植物などを写真入りで紹介したところ、「ぜひ、見たい」と会員以外からも反響があったという。

 池の公有地化の計画が持ち上がっていることから、昨年1月には、市に深泥池の保存案を提案した。これまでの活動から得た教訓を盛り込んだ内容で、具体的には、専属の研究者が常駐する「ビジターセンター」を作り、一般の人が身近に池を観察できるようにする、というもの。

 田末さんは「池の学術的な価値を市民に知ってもらうことと、池の自然にじかに触れてもらうことが、池の保全に欠かせない」と力を込める。


 深泥池を守る会 結成は1990年6月。昨年12月の地球温暖化防止京都会議の期間中、協賛イベントに参加して深泥池の保全の重要さを訴えた。会員は教師や研究者、地元の人たちなど約300人。年会費500円。連絡先は京都市左京区下鴨松ノ木町の田末利治事務局長 電話075(712)0647へ。


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