Kyoto Shimbun 1997.12.8 【UNFCCC-COP3/KYOTO】

 環境サミットの様相
 「パワー」発揮できるか

 小雨が降る古都に八日、環境派の旗手・米国のゴア副大統領が乗り込んで来た。地球温暖化防止京都会議は、ゴア副大統領や橋本首相ら五十数カ国の環境閣僚が一堂に会し、会議はさながら「地球環境サミット」の様相となった。会場の国立京都国際会館(左京区)は、会議のヤマ場を迎えて慌ただしさを増し、先進国がまず約束を果たすかどうかを注視する途上国、会議の行方を見守るNGOが、日米首脳の演説をかたずをのんで見守った。

日米首脳会談
 合意へけん引を  閣僚会合

 国立京都国際会館の周辺は、厳重な警備体制が敷かれ、朝から警備陣や首脳を出迎える関係者らが慌ただしく動き回った。

 橋本竜太郎首相は午前九時十分ごろ京都入りし、そのまま国際会館に到着。正面玄関で待ち構える大勢の市民団体や報道陣とのトラブルを避けるため、全体会議が開かれているメーンホールの臨時通用口から九時半すぎに入った。

ゴア米副大統領の演説をテレビで見る会場の報道陣ら(イベントホール)
 会談は和やかな雰囲気の中で行われ、首相が「京都会議は政治的決断の段階にきている」として温室効果ガスの削減目標や途上国問題で米国の努力を求めた。これに対し、ゴア副大統領は「日本と協力して京都会議の成功に向け努力したい」と述べ、米国政府代表団に積極的に取り組むよう指示したことを明らかにした。

膨らむ報道陣
 マスコミ450社  高まる緊張

 橋本首相やゴア米副大統領ら、各国のトップ級の登場に、世界中から集まった報道陣も俄然、緊張と熱気が高まった。

 会議取材の報道関係者は、日本のマスコミを含め約四十カ国、約四百社、三千六百三十人。開幕当初より二百人近く増え、プレス拠点のイベントホールには、午前八時過ぎから各国の記者やカメラマンが続々と集まった。

 中でも、米国の報道機関は特にヒート気味。ダラス・モーニングニュースの記者ランディ・ロフティスさん(43)は「アメリカ国民も副大統領の会議での発言に大いに注目している。副大統領は、少しは会議を進展させる材料を持ってきたのでないか。小さな変化が起こるかもしれない」と、緊張感をみせた。

 会議成功のカギを握るとみられる同副大統領の演説が始まると、モニターテレビ前はメモをとる各国人記者の人垣ができた。

ゴア副大統領
 長旅の疲れみせず 会議場へ

 午前六時五十八分。雨が降りしきる中、ゴア米副大統領を乗せたリムジンが、京都府警のパトカーなどに先導され、京都市東山区のホテルに到着した。副大統領が、リムジンからその長身を現すと、アメリカのシークレットサービスががっちりガードを固める。

 「ハロー」。副大統領はカメラを構えた約二十人ほどの報道陣に、右手をあげて、笑顔をふりまいた。十四時間の長旅の疲れをいっさい感じさせない、さっそうとした姿で、エレベーター前までの赤じゅうたんの上を素早く歩くその若々しさは、ポスト・クリントンをうかがうにふさわしい。

 この後、同ホテル八階のロイヤルスイートで、少し休んだ後、午前九時二十四分、再びリムジンで会場の国立京都国際会館へと向かった。

ス ピ ー チ
 橋本首相  トップを切って開会演説

 地球温暖化防止京都会議の閣僚級会合には、約百六十カ国の代表団が出席し、議長国・日本の橋本竜太郎首相や環境派として有名な米国のゴア副大統領ら各国首脳が演説した。

 「私自身がリーダーシップを取る」。開会演説のトップを切って演台に進んだ橋本首相は、用意した原稿を慎重に読み上げた。交渉の大きな前進につながる踏み込んだ発言はなかったが、演説の後、会場からは首相をたたえる拍手が起こった。ゴア副大統領の求めにこたえて壇上で握手を交わす場面もあった。

 一方、ゴア米副大統領は、代表団や傍聴席のNGOの人々の一段と大きな拍手、カメラのストロボ光に迎えられ、演壇に立った。演説の途中、「われわれが京都に来たことで大きな勝利を得た」と発言。さらに「クリントン大統領とも今朝、電話で連絡をとり、米代表団に柔軟性をもって交渉に臨むように伝えた」と述べた。ゴア副大統領の演説が終わると、発言内容の評価を巡って会議場内でざわめきが起こった。

 ゴア副大統領に先立って演説したナウルの大統領は、温暖化により水没の危機が迫る自国の状況を報告し、「米国が大幅な削減案を打ち出してくれるだろう。ゴア副大統領の発言を、わたしたちは息をひそめて待っている」などと述べ、大きな拍手を浴びた。


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