Kyoto Shimbun 1997.12.9 【UNFCCC-COP3/KYOTO】

「会議の行方見えない」

始まった閣僚級会合。残された2日間で、温室効果ガス排出削減の数値目標が合意できるかどうか(京都市左京区の国立京都国際会館)
焦り 緊張
閣僚級会合始まる

 地球温暖化防止京都会議は八日、会議のカギを握る米国のゴア副大統領や橋本首相らの出席で大きな局面を迎えた。しかし、各国政府や環境NGO(非政府組織)からは、約二時間で会場をあとにした橋本竜太郎首相への批判や、やや柔軟な姿勢を示したものの従来の主張を繰り返すゴア副大統領の演説に落胆の声が広がった。「日程はあとわずかなのに会議の行方がまったく見えない」。「京都で本当に合意ができるのか」。焦りと緊張が交錯する京都会議の一日をドキュメントで追った。


日本
「米国も妥協が必要」 橋本首相

 午前9時45分 「京都会議は政治的判断の段階にきている。米国も妥協が必要なところはあるでしょう」。橋本首相は、国立京都国際会館の貴賓室でゴア米副大統領と会談。京都会議の合意に向け、米国政府の努力を求める。

 午前11時 閣僚級会合の開会式で歓迎スピーチをした橋本首相は、慌ただしく国際会館をあとに。政府関係者は「やはり総理が来ると緊張感が違う。日米首脳会談の成果で交渉に弾みがつけば」と、祈るような表情。

 午前11時40分 「途上国の温室効果ガス排出量が急増していることを考慮すれば、途上国も能力と排出量に応じた努力が必要」と、小渕外相が閣僚級会合の政策演説で主張。

 午後6時すぎ 田辺敏明地球環境問題担当大使は「アイゼンスタット国務次官が来てから米国は、これまでの絶対反対から提案風の姿勢に変わりつつある。閣僚級会合で各国とも落としどころを探っている状態。もう、少し。もう、しばらく」。自ら言い聞かせるように

米国
「合意に自信」言葉残し離日 ゴア服大統領

 午前6時58分 京都市東山区のホテルに到着。待ち構えた報道陣に「ハロー」と手を上げ、さっそうと八階のロイヤルスイートルームへ。

 午前10時30分 「米国の代表団に対し、交渉で一層柔軟な対応をとるよう指示する」と閣僚級会合でスピーチ。真意を測りかねた会場からざわめきが。

 正午 国際会館近くのホテルで米国代表団約二十人と会合。代表団の一人は「途上国の立場も考慮しつつ、合意の道を探らねば。きょう、明日が話し合いのヤマ」。この後、EU代表、英国副首相、大木環境庁長官らと次々に会談。

 午後4時半 東山区のホテルに戻り、途上国グループなどと会談。インドの代表は「ベルリン・マンデートでは途上国への新たな義務を認めていない。(この会談で)自分たちの案は修正していない」とコメント。米国と依然隔たりがあることが浮き彫りに。

 午後8時30分 予定より十五分遅れて国立京都国際会館で記者会見。疲れた様子も見せず「合意に至ることに以前にも増して自信を深めている」。午前の会見で触れた「新しい柔軟性」については具体的な明言を避ける。

 午後9時16分 宝ケ池球技場からヘリコプターで関西空港に向かった。

途上国
 議定書の採択 持ち越しかも

 午後3時15分 「G77+中国」グループ議長を務めるタンザニアのマーク・マンドゥーシャ・エネルギー環境科学技術センター代表が、グループの個別会合が長引き、予定より十五分遅れで記者会見。会見場に駆け込み「ゴア副大統領の出席は、一般市民の認識を高めるには役立った。ゴアが述べた『柔軟性』がどんな内容を指すのか、見きわめたい」。

 午後4時 南太平洋のナウル代表団のロス・ケイン外務省次官補は「今のままでは京都議定書が採択できず、来年のアルゼンチン会議に持ち越されることもあり得る。島の存続がかかっているので、何らかの結果を持って帰りたいが…」と不安を募らせた。

EU
 課題増えるばかり

 午後1時45分 プレスセンターの欧州連合(EU)ブースに、十五カ国約四十人が集合。この日、二回目の合同ミーティング。会議後、「ゴア演説を受けて何か協議したのか」との記者の質問に対し、イギリス代表の一人は「とてもそこまで時間がない」。「森林が吸収する二酸化炭素の算定方法など、具体的な検討課題が日増しに多くなる」と鳴りやまぬ携帯電話の応対に大忙し。

 午後5時 スウェーデン代表のアンナ・リンド環境大臣が、京都会議の全体会議でゴア演説を「美辞麗句ばかりで現実を反映していない」と厳しく批判した。

NGO
「日米の責任だ」と批判

 午前11時30分 ゴア米副大統領の演説を受け、世界的な環境NGO三団体が早速、緊急声明を発表。「グリーンピース」のジェニファー・モーガンさんは「実のない議論はもうやめて。温室効果ガスの排出削減に向け、米国の約束を何ひとつ示さなかった」とバッサリ。

 午後2時15分 「地球の友」に所属する十八カ国二十六人が国際会館前で、赤い地球を描いた旗を掲げて温暖化の危機をアピールした。「各国の閣僚は世界中の人々の願いを心に刻み、温暖化防止へ明確な行動を起こしてほしい」。参加者代表の小野寺勇利さんが声をからす。

 午後3時5分 「気候フォーラム」の浅岡美恵さんが記者会見。「あと三日になっても会議の行方が見えないのは、議長国の日本と米国の責任。橋本首相の演説は過去の功績の自慢話。ガスの大幅削減に前向きな姿勢が表れてない」と厳しく批判した。


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