もう時間がない
地球温暖化防止京都会議は九日午後、議定書づくりに向けて、最大のヤマ場を迎えた。刻々と時間が過ぎて行くなか、議長国の日本や米国、EU(欧州連合)の先進国の政府代表団は、水面下で土壇場の駆け引きを続けた。こう着状態の打開を狙い、全体委員会のエストラーダ議長が、温室効果ガスの削減数値を盛り込んだ議定書案を提示。この議長案をめぐり、各国の代表団が提案の分析に入る一方、安易な妥協を嫌う環境NGO(非政府組織)は提案に猛反発の声を上げた。タイムリミットと戦う京都会議の動きを追った。
25分 全体委員会のエストラーダ議長が記者会見。「具体的な内容はまだ言えないが、午後三時からの会議で(議案書の)ペーパーを出す」とコメント。 40分 日本と米、EU(欧州連合)との事務レベルの会合が日本政府団の入る国際会館五階で始まる。会合は午後五時前まで断続的に続き、交渉にあたる外務省職員も疲れた表情。
0分 「三時に出るはずの議定書案がまだ発表されない。実効性ある内容でないと島々の国民は納得しない」。先進国に大幅な温室効果ガスの削減を訴えるミクロネシア連邦のレオ・ファルカム副大統領。
0分 進展しない交渉に業を煮やした世界自然保護基金(WWF)が緊急アピール。三種類のガスで一五%削減など、従来の主張より現実的な数値目標を示し「交渉をまとめて」と訴えた。WWFの鮎川ゆりかさんは「環境NGOとして受け入れられるギリギリの線。議定書がこれを下回れば、今後、政府のサポートは出来ない」ときっぱり。
EC 徹夜の覚悟
0分 「G77+中国」グループの会合に向かうタンザニア政府代表のリチャード・ミユンギさんは「毎日、提案がくるくる変わり、どんな内容になるのかさっぱり分からない。議定書案が出たらグループの会合で検討するが、合意は容易でないだろう」。 同 EC(欧州委員会)が記者会見。温室効果ガスの削減率について、ECのビャルゴー環境委員は「いまは折衝の真っただ中なのでいえない。いい方向に動くなら今晩も夜を徹する覚悟」と。 20分 環境庁主催のレセプションが国際会館内で開かれ、議長の大木浩長官がスピーチ。睡眠時間は三時間というが、精力的に懇談。日本政府代表団の一人は「これからエストラーダ議長の議定書案を各国で検討して協議しなければ。残された時間は少ない」と足早に交渉の場へ。
40分 全体会議で、国連事務局職員が各国政府代表にエストラーダ議長案を配布した。 42分 同議長は「(削減数値の入る議定書案は)交渉へのたたき台として出した。この案をとるにせよ、とらないにせよ、今後どのような行動が可能か考えてほしい」。
0分 古屋昭夫公使は国際会館一階カフェテリアでたばこを一服。「あくまでエストラーダ氏の私案にすぎないが、日本の考えが理解されていないようだ。代表団で分析しているが、今夜中に終えないと交渉に間に合わない。東京にも連絡した。バタバタしている」
0分 田辺敏明地球環境問題担当大使が全体委員会の会場に入る。「これから相当な議論がある。議長案はあくまでたたき台」 25分 田辺大使が日、米、EUの三極会談に出席するため全体委員会会場を退出。三分後、エストラーダ議長も後を追う。
15分 「橋本首相がクリントン米大統領らと電話会談する」との情報が国際会館に残った報道陣やNGOの間に広がる。気候フォーラムの浅岡美恵事務局長は「会見内容を明朝のニュースレターに盛り込みたい」と足を止め、他のNGOと情報交換を始める。 33分 日本政府代表団の入る国際会館五階で、留守番の女性職員が「会議のため職員はいない」と。外務省の報道担当官連絡室も「東京で会見しているようだが、こちらで内容は分からない」と繰り返す。
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