Kyoto Shimbun 1997.12.10 【UNFCCC-COP3/KYOTO】

 焦りの色 濃く
 京都合意へカウントダウン

3極会談の会場から出て記者団に囲まれる大木議長(国立京都国際会館)
 残された時間はきょう一日かぎりだ。二十一世紀の地球を決める地球温暖化防止京都会議は十日、ゴールラインが見えないまま最終日を迎えた。会議の最大の焦点、温室効果ガスの削減数値はいまだに決まらない。目をはらしながら、それぞれの思惑を胸に秘め、最後の綱引きに当たる各国政府代表団は、会場のあちこちを激しく動き回る。内外のNGOにも、焦りと疲労の色がにじむ。

 ●各国政府
 何が何でも作成を

 決着の日の朝、先進諸国の代表団は全体委員会再開までに妥協点を探ろうと水面下でぎりぎりの調整を続けた。

 欧州委員会(EC)のヨルゲン・ヘニングセン環境担当局長は午前八時半、地下鉄で国際会館へ。「何が何でも今日中に京都議定書を作り上げる。居残りはごめんだ」と言い残し、会場内に消えた。午前九時、欧州各国の代表らはコーヒーカップを手に欧州連合(EU)ブースに集合、昨夜に続く実務会合に臨んだ。

 米国の政府代表団は午前九時半、国際会館へ。アイゼンスタット国務次官はエレベーター前で報道陣に取り囲まれ、「打開のための米国自身の提案は」など矢継ぎ早の質問を浴びたが、堅く口を閉ざし、最後に「まだ協議中だ」とだけ言い残して、同僚二人とエレベーターに乗り込んだ。

 議長の大木浩環境庁長官は午前十時前、「四時間ぐらい眠れた。橋本総理のご努力で、各国首脳から『京都会議の成功に向け協力する』とのいい反応が返ってきていると聞いている。これからだ」と非公式の先進国会合へ急いだ。米国や欧州の政府代表団関係者も集まり、十時すぎにエストラーダ議長も合流した。

 ●NGO
 会議が動けば即行動

 国際会館前では、早朝から各国のNGOが政府代表団メンバーらにビラを配り、「より大幅な温室効果ガス削減を」と訴えた。九日の議長案で温室効果ガスの排出増が認められたオーストラリアの環境保護団体は、炎で焼かれる地球を描いた看板を示して抗議。「国民として本当に恥ずかしいこと」とメンバーは厳しい表情で話した。

 「環境市民」(事務局・京都市中京区)も急きょビラ三百枚を印刷し、各国政府代表に手渡した。能村聡さん(33)は「議定書案は抜け穴だらけ。こんな内容では地球は守れない」と憤慨した様子を隠さない。

 各NGOとも、九日夜に出されたエストラーダ議長案を分析、先進国代表団へのロビー活動を行った。しかし、会議の先行きが見えないだけに「こちらも動きにくい」と、対応に苦慮する。WWF(世界自然保護基金)のメンバーは「再開される全体委員会の様子を見守り、会議が動けば、すぐに行動する内容を打ち合わせる」と話した。

 ●会議場
 今からが困難の始まり

 「昨夜の間に話がどう進んだのか分からない。まだ決着のメドが立っていない。いまからが、困難の始まりだ」。京都会議のメーンホール前のロビーで、ナウル共和国代表団のケイン・ロスさんは、疲れた表情。会議の行方はいまだ不透明のままだと話す。

 全体委員会の議場には、報道陣やNGO関係者らが傍聴席に詰めかけたが、午後零時半を過ぎても再開の兆しは見られない。その中で、大木浩議長が、先進国間の協議が続いている国際会館二階の一室との間を行き来するなど、最後の調整に向けて慌ただしい動きを見せる。

 全体委員会の再開を午後一時に延期する知らせが入ると、席を立つ代表団も。インドネシア代表のラタ・メサックさんは「疲れた代表団をさらに待たせ、しびれを切らせるのも交渉の手か」。先が読めない会議に、焦りと失望が交錯する。

 ●報道陣
 運命の1日 追い始める

 未明まで取材を続けた各国の報道陣は、疲れた表情をみせながらも、早朝から「運命の一日」を追い始めた。原稿を執筆中のAFP通信社特派員のディビッド・ウイリアムズさんは「米国や日本、EUは水面下の交渉で確実に合意に近づいていると思う。連日あまり寝ていないが、今日、決まればハッピーだ。ぼくも頑張る」。

 国際会館内では、各国政府関係者を多数のカメラが囲み、熱心にインタビューする光景が目立つ。米国関係者に取材していたドイツのラジオキャスター、ヤコブ・マーラさんは「EUと米国がどう折り合いをつけるか、議長国・日本がどんな役割を果たすかを注目している」と話す。

 会議のカギを握る議長国の大木浩環境庁長官が姿を見せると、報道陣が駆け寄り、「今日中に合意できるのか」「削減数値は決まったのか」と質問攻め。報道陣と警護の国連職員が言い争う場面もあった。


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