Kyoto Shimbun 1997.12.11

 希望、焦り交錯
 最終日ドキュメント

緊張した表情で全体委員会の会議場に
入る各国代表団(国立京都国際会館)
 タイムリミットが迫り、希望と、不安、焦りが交錯した地球温暖化防止京都会議最終日の動きを、会議の行方を見守った市民とともに追った。

午後1時
 0分 議定書案を審議する全体委員会は中断のまま。エストラーダ議長や主要先進国代表団は、会館内の別室で協議を続ける。「報道陣が殺到し、議長の頭にテレビのカメラが当たり、混乱が生じている」と警戒の国連職員。

 宇治市の会社員西澤進さん(50)「会議の結果がどのように明日からの生活にはね返ってくるのか、あまりピンとこない。ゴア米副大統領たち有名人が京都に来たというイベント性の方が印象に残った」

午後3時
 45分 世界自然保護基金(WWF)のメンバー二十人がNGOルーム前で、記念写真に収まる。小森繁樹さん(47)は「会議の行方が見えず、みんなイライラしている。ヤマ場の今夜に備え気分転換です」

 国連の委託を受け会議の写真を撮影していた京都市左京区在住の英国人カメラマン、フランク・レザーさん(51)「大勢のメディアが集まり、大変なエネルギーを感じた。実際の交渉は会議場でなく、個別の密室会談で進んでいる。カメラマンとしては非常に撮りにくい会議だった」

 市民「生活感ない」

午後5時
 0分 「会議が(十一日の)朝六時まで延びたとしても、それは延長とはみなさない。六時以降までいけば延長だが、会議はきょうで確実に終わる」と国連条約事務局のヤノス・パスツール国際部長。その理由は「通訳の人たちが、十一日には帰るからだ」

 京都市東山区の会社員山下昇さん(54)「せっかく京都でやっているので、期間中はNGOのイベントに参加した。しかし、会議場でのやりとりは数字の応酬で市民の生活とはかけ離れているような気がする」

午後6時
 30分 エストラーダ議長が全体委員会を再開。同議長が「六%削減の線で会議を進め、議定書案をまとめたい」と提案する。こう着の会議が動き出す。

 京都市中京区の主婦上地恵美子さん(37)「地元で大きな会議が開かれているのに、盛り上がりが感じられなかった。車のアイドリングをやめたり、ごみの分別収集を徹底するなど、行政的な後押しが欲しかった」

午後7時
 10分 途上国グループのG77が、議長発言を受けて急きょ会合を開く。

 滋賀県滋賀郡志賀町、団体職員浜秋明博さん(38)「大半の市民は詳しい内容を知らないと思う。目先の生活にとらわれず、世界中の人が地球の危機に気づき、環境に配慮した生活や正確な知識を学んでゆくことが大切だろう」

午後8時
 5分 チェシー・ジヨン米上院議員がプレスルームで記者に囲まれ、「ロシアとの排出権取引は問題ない」と発言する。

 会館前で客待ちの京都市左京区、タクシー運転手古谷深志さん(50)「環境の大切さはわかるが、参加者は地下鉄利用が多いし、観光する人も少ない。売り上げは伸びなかった」

午後9時
 0分 国際会館内でインドのNGOメンバーのエス・コーリシャマさん(31)が、展示ブースの解体を始める。「水の豊かな琵琶湖が印象的。京都会議で得た経験をニューデリーで生かしたい」と荷づくりを急ぐ。

 京都市中京区の主婦細木京子さん(51)「関心を持って会議を見ていたが、数字が何%とか、環境問題というより政治の取り引きみたいで、全然分からなかった。会議が終わってから、市民レベルでどう行動を起こせるかが大事」


▼NEWS BACK NUMBER▼  ▲INDEX▲