Kyoto Shimbun 1997.12.11

 結集の成果求め
 水面下で 緊迫

先進国と途上国の非公式会合の後、よう
やく再開された全体委員会の会議場に入
る各国代表団(国立京都国際会館)  
 地球の運命を決めるために、世界中から人々が集まった地球温暖化防止京都会議は、最終日の十日から十一日未明にかけ、ようやく「京都議定書」がおぼろげに姿を現した。

 「排出量を減らす合意ができたら、十二月十日は将来も『大気の日』として記憶の中にとどめられるだろう」。土壇場の交渉を続ける各国代表団に、エストラーダ全体委員会議長は呼びかけた。

 一日の開幕から夜通し繰り広げられた激しい綱引きも、エストラーダ議長の修正案を軸に、一気に終幕へ向かい始めた。

 大国エゴに怒りも
 出席者らいら立ち

 ■会 議 場■

 「今すぐにでも始めてほしい。こんなに遅れているのは、EUや米国が自分たちの利益にこだわっているからだ」。OPEC代表団の一人は厳しい表情で話した。午後から再開が予定されていた全体委員会は、予定時刻を七時間以上過ぎても一向に始まらず、代表団やNGOのメンバーはいら立ちを募らせた。

 一気に緊迫感が高まったのは、午後六時二十五分。突然、全体委員会の議場にエストラーダ議長らが姿を見せた。夕食のために席を離れ始めたNGOや代表団メンバーも慌てて着席、押し寄せた報道陣らとともに期待を込めて議長の発言を見守った。

 午後六時半、当初の予定より七時間半遅れで全体委員会が再開された。エストラーダ議長が前日夜に提出した議長案の調整状況などを説明。「最終的な合意ができれば、十二月十日は将来に記憶される『大気の日』となるだろう」と話したが、普段より声が小さく、長時間の非公式会合による疲れは隠せなかった。午後十一時までの中断を告げると、議場内から一斉にため息やざわめきが起きた。

 議長発言に対し、ノルウェー代表は「現時点では何とも言えない」。ペルー代表も「排出権取引や共同実施などの話が詰まっていない」と評価には慎重な姿勢を見せた。

 「非常にシビアな交渉」

 ■政府代表団■

 日本政府代表団は、エストラーダ議長に同席を求めて、午後一時半から米国、EU、途上国との非公式協議を再開した。最終調整に向けて協議は閣僚、事務レベルで断続的に続き、厳しい顔つきで担当官が資料を手に部屋の出入りを繰り返した。「非常にシビアな交渉だが、重要点が解決すれば一気に決着することもある」。関係者は、自分に言い聞かすように話した。

 エストラーダ議長が全体委員会議場に入った直後、外務省の高村正彦政務次官の会見が始まった。残り時間が六時間を切り、内外記者約二百人が「合意の見通しは」「今後の展開は」と矢継ぎ早の質問を浴びせたが、高村次官は「非公式協議が続行中であり、詳細については言えない」。二十分で会見を切り上げた。  「前日は五%といっていたが、削減率を六%に上げることができた。これで採択できることを願っている。合意できれば、十二月十日は『大気の日』として将来も記憶されるだろう」

 午後六時半、中断されたままだった全体委員会が再開され、姿を現したエストラーダ議長が、前日の議長提案の修正案を説明する。

 「数字以前に、排出権取引など抜け穴だらけなのが問題。百の抜け穴を作れば百%削減でもできる」。プレスルームのモニターTVで、議長説明に耳を傾けていた気候フォーラム事務局長の浅岡美恵さんは修正案を切り捨てた。「『大気の日』発言は、議長に危機感があるからこそ」。それでも、全体委員会の成り行きに望みをつないだ。

 WWF(世界自然保護基金)の鮎川ゆりかさんは発言内容の進展具合を一つひとつ確認するようにモニターに見入った。「抜け穴をつくるなら、削減率をもっと高い数字にすべき。途上国への義務規定など大きな課題はそのままで、まったく具体的でない」と厳しい表情をみせた。


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