Kyoto Shimbun 1997.12.11

 手ごたえと課題残し  
環境問題に取り組む人たちの10日間

 京都会議は十日の最終日も徹夜となり、十一日を迎えた。会議では、各国政府の要人だけでなく、四千人近いNGOが活躍した。会場周辺だけでなく、京都市内を中心に百を超える関連イベントが催され、環境問題に取り組む人々が「CO2の排出量を削減し、地球の温暖化を防止しよう」と訴えた。NGOは、大きな手応えを得た一方で、今後の運動展開に、多くの課題が残っていることも感じたようだ。


 家庭から社会動かしたい

 京都市中京区で美容院を営む牧野裕子さん(38)

 「CO2の排出量を調べる方法があいまいだと知って、削減量には興味がなくなった。命や自然につながる大問題なのに、国益が優先されている。大の大人がやることじゃない」と訴える。

 健康と環境汚染を考え、四年前から美容院のシャンプーを安全な液体せっけんに替えた。さらに、酢と湯だけを使う洗髪も始めた。パーマも基本的に扱わない。

 環境NGOの京都地球村に所属する。会議の期間中は「女性たちのフェスティバル」など三つの講演会を運営した。「普段の生活の中でできる取り組みを伝えたかった。。生活や家庭の感覚を大切にして、政治、社会を動かしたい」。


 世界への影響力考えよう

 気候フォーラム京都ネットの運営委員で
 京都哺乳類研究会事務局長の川道美枝子さん
(50)

 「遠いところにある国際会議を市民の近くへ引っ張ってこよう」。そんな心意気を支えに、一日から六日まで京都市北区の市北文化会館で開かれた「NGOのひろば」を切り盛りした。シンポジウムや学習会、NGOの活動紹介、会議内容の解説、速報紙の配布などすべてに取り組んだ。会議場から持ち帰った資料は置いたそばから無くなった。

 だが、政府もNGOも一般市民へのアピールが不足していたようだと思っている。「これからはNGOの仲間内だけでなく、どうしたら行政や世界に影響を与えられるのかをもっと考えなければ」と考えている。


 目標へ進む一体感良かった

 同志社大工学部三年渋谷栄里さん(21)

 会期中、国連条約事務局のアルバイトとして、パソコン利用者に応対した。十日も、海外の報道陣らでにぎわう会議場内のインターネットカフェで、所定拘束時間を過ぎた午後も会場に居残って頑張った。

 「明日から日常に戻るかと思うと寂しい。ここに居ると、毎日新鮮な発見があって、時を忘れます。ぎりぎりまでこの雰囲気を肌で感じ取りたい」

 渋谷さんには、学生NGO「SCOP」の一員というもう一つの顔がある。パソコンの腕がかわれ、国連からバイトの声がかかった。「一つの目標に向かって突き進む一体感がすごく良かった。睡眠不足も気になりませんでした」と振り返る。


 新エネルギー普及が必要

 京都府八幡市の垣見宗吾さん(65)

 地元で「太陽光発電おじさん」として知られる垣見さんは今月六日、京都市内で開かれた「国際自然エネルギー発電所長フォーラム」に参加し、太陽光発電や風力発電に取り組む全国の仲間たちと交流。「CO2削減には、新エネルギーの普及が必要」との思いを強めた。

 垣見さんは今春、自宅の屋上に、約五百二十万円かけて一枚五十五ワットの太陽光パネル七十二枚を敷きつめ、節電に努めている。フォーラムでは、団地のベランダにも設置できる小規模パネルの普及を提言した。「京都会議で決まった削減目標を達成するためにも、今後は技術開発に力を尽くしてほしい」と、明るい未来を思い描く。


 運動はやめてはいけない

 地球環境蘇生化実践協会事務局長の河千田健郎さん(54)

 冷え込んだ十日朝、会場の玄関前で、温暖化防止に向けた市民運動を今後も大きく広げていこうと、さらなる温室効果ガスの削減を各NGOが共同で求める市民宣言への賛同者を募った。

 「会議の結果には不満です。けれども、運動をやめてはいけない。地球の未来を各国政府の代表だけに託すわけにはいかないのです」。NGOに転身する前は保険会社に勤め、東南アジアの木材を輸入する商社への融資を担当していた。「伐採現場を実際に見て、自分の仕事に耐えられなくなった」という。胸には「子供たちの未来を保証できますか」と呼びかけるチラシを張りつけていた。


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