温室効果ガス削減へ発進 京都会議 閉幕 地球温暖化防止京都会議が十一日、閉幕した。難産だったが、温暖化の原因の温室効果ガスの削減について世界で初めて削減目標を義務づける「京都議定書」を採択し、第一歩を踏みだした。会議を取材した担当記者で交渉経緯や課題などを話し合った。
底流に国益、南北問題
A ボンでの特別会合の論議から、京都会議もぎりぎりに採択されると予想していたが、その通りになった。 B 日本、米国、欧州連合(EU)の対象ガスや数値目標をめぐる主張のが埋まらなかった。ゴア米副大統領の来日や橋本首相がクリントン米大統領やコール独首相らへの電話で急転回した。最終的にはトップの政治決断だった。 数値ころころ C 最大の関心事は削減数値目標だった。ところが、数値は時間刻みでころころと変わり報道陣も振り回された。日米欧三極の数値も十日に、日本、米国、EUの%が五・六・七だったのが、五・六・六に変わり、六・七・八、六・七・七、六・七・八と揺れ動いた。代表団の中でも、間違った情報が流れていた。結局、妥協の産物だよ。 B 環境の視点とは裏腹に、国際競争力の利害が軸になり、激烈な外交交渉になったためだよ。産業構造や国民のライフスタイルに直接かかわる。環境をだしにした経済交渉の面があるね。 D 温暖化防止は、先進国と途上国の南北問題だと改めて感じた。米国は二十一世紀前半には途上国の排出が増大して先進国を上回ると、途上国に排出抑制の参加がない限り、削減義務に応じないと繰り返していたが。 周到に根回し C 五日の本会議で、ニュージーランドが「二〇一四年以降、途上国も排出抑制をする約束をする」という提案を持ち出した。途上国問題は避けて通れず、実は先進国が用意周到に根回ししていた。 A 途上国から国名の札を掲げて発言を求める光景が相次いだ。「われわれの排出は生きるためだ」「先進国は二〇〇〇年に一九九〇年レベルに戻すという約束を果たしていない」と猛反発した。 B 日本の交渉筋は「議題と議題の間に滑り込ました。ニュージーランドは血まみれになる覚悟で勇気ある提案し、真正面から議論ができた」と、問題の難しさを漏らしていたね。 A 予想通り、採択されなかったが、米国や議長国の日本では反発が強いので途上国とのあつれきが少ないニュージーランドが提案したというのが真相のようだ。日本は京都会議の始まる前から途上国に特使を派遣したり、在外公館を通じて途上国の態度を見極めようとしたが、硬いというのは折り込み済みだった。 演説に説得力 D 途上国約百三十カ国を代表して行ったタンザニアの演説は説得力があったね。途上国の発展したいという切実さが冷静に理路整然と語られ、傍聴していて胸打つものがあった。 C どの国も発展したいわけだ。軍縮の問題と同じで、まず先に軍縮せよと求めるのと同じで、信頼醸成が不可欠だ。先進国が約束した削減目標を達成していくこと、実行が途上国も参加して排出を削減していくことに結びつく。 B 世界最大の排出国、米国は交渉をどう行ったのだろう。 A 主な途上国の参加がなければ、削減義務を負わないとこだわっていた議定書の条文は、途上国の反発で削除された。でも、途上国への技術移転や資金供与の「クリーン開発メカニズム」に排出権取引や共同実施が組み込まれ、実をとったといえる。問題は米国の上院で批准されるかどうかだ。 C 日本は自国の実質削減率、二・五%を掲げていたが、結果は六%。政府関係者の大変厳しい目標で、産業、民生、運輸の国民全体の取り組みが不可欠と苦しい立場を協調した。 目引いたNGO A ところで、今回の会議は環境NGOと呼ばれる市民団体の活躍が目を引いたね。約三千人がオブザーバーとして参加し,情報量もすごい。エストラーダ議長の試案の数値目標をすっぱ抜いたのも国際環境NGOだった。環境団体のと政府代表の二つのバッジを持っている人もいるよ。会議の流れや勘どころを突いていた。 B 確かに日本のNGOの歴史は浅いし、市民への広がりという点ではこれからだ。京都会議で海外のNGO団体と時には一緒に活動し、交流した経験は貴重だったと思うよ。 A 京都議定書は具体的な施策の部分を次回、ブエノスアイレスで開く第四回締約国会議に持ち越したが、具体的削減に踏みだしたのは世界で初めて。小さな一歩だが、五十年、百年先には巨大な一歩になっていくよ。
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