Kyoto Shimbun 1998.1.19

 NGO報告会
 地球温暖化防止京都会議を終えて
 「一歩前進、だが不十分」

 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)はこのほど、大阪市内で報告会「地球温暖化防止京都会議を終えて―これからの私たちの取り組み」を開催した。京都会議で採択された京都議定書を「一歩前進、だが不十分」(CASA専務理事で気候フォーラム事務局次長の早川光俊さん)と評価。COP(締約国会議)や国に対する取り組みとともに、京都府や京都市などで進められている自治体レベルの温暖化防止計画策定への働きかけを強く呼びかけた。

 京都議定書は、2008年―12年の5年間に、先進国全体で5.2%削減(1990年比)という数値目標を定めた。しかし▽先進国間の排出枠(排出権)取引▽植林など「吸収分」で温室効果ガス増加分を相殺する「ネットアプローチ」▽途上国との共同実施で削減する「クリーン開発メカニズム」―など、数値目標を軽減できる制度も導入された。

 早川理事は「会議最終日まで『合意できないのではないか』と不安だったが、できて良かったというのが正直な気持ち」と会議を振り返りながら「排出枠取引などの『抜け道』を使えば、NGOの試算で最大35%増までよいことになり、5.2%削減という数字は簡単にふっとぶ。議定書の内容は、私たちが求めている地球温暖化の防止には不十分だ」と強調した。

 CASA代表理事の山村恒年関西学院大学教授は「京都議定書は、未完成。国ごとの制度化や排出枠取引などの具体的内容は、MOP1(議定書発効1年後に開かれる締約国会議で2001年前後に開催の見込み)で決めるガイドラインにゆだねるなど、問題を先送りしている」。

 地球温暖化を防ぐ実効力ある議定書となるかどうかは、11月にアルゼンチンで開かれるCOP4(第4回締約国会議)以降の議論が左右するとあって、早川理事は「排出増となる抜け穴をふさぎながら、モントリオール議定書(フロンなどオゾン層破壊物質を規制)のように数値目標を強化しなければ」と訴えた。

 一方、国内でも、削減目標の6%達成に向けて、国会で議論が始まろうとしている。通産省が省エネ法の改定、環境庁は地球温暖化防止法(仮称)制定の準備を進めているが、早川理事は「通産省か環境庁かと、霞が関に議論を狭めてはだめ。税制や経済システムの問題も含めて、主役である市民がチェックできるような制度づくりが必要」と指摘。山村教授は「国の計画はもちろん、議定書に盛り込まれた自治体レベルの地域計画にNGOが参加し、地域の建設計画や都市計画、交通施策などに『温暖化アセスメント』を実施させていくことが必要ではないか」と訴えた。


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