| Kyoto Shimbun 1998.11.5 |
昨年十二月の地球温暖化防止京都会議に続くブエノスアイレス会議(COP4)が、二日からアルゼンチンで始まった。京都会議で採択された京都議定書は、健全な地球環境を将来にわたって残そうという人類の決意表明でもある。京都会議をきっかけに、自治体や企業、市民レベルで始まったこの一年間の環境保全の取り組みを追うとともに、新たな国際交渉の出発点となるブエノスアイレス会議の行方を探った。
荘厳な白木の祭壇がずらりと並ぶ、葬祭用品の展示会。「イベント化した葬儀の時代は終わった」。会場の京都市伏見区のパルスプラザで、彦根市内の葬祭会社の木川英樹社長は自信たっぷりに語る。 数十万円もする豪華な飾りも、一度使えばごみに変わる。地球温暖化防止京都会議にちなんで昨年、青年会議所が催した環境問題の講演会に参加し、無駄の多い葬儀に疑問が芽生えた。滋賀県が「環境熱心県」を掲げていることから「環境にやさしい業者として、行政にアピールしたい」という思惑もあった。 パンフレットや紙袋を再生紙に替え、段ボール製の柩(ひつぎ)を扱う。再生紙百%の香典帳も試作した。「環境にやさしく、心のこもった葬儀が出来ることを遺族に理解してもらえれば、葬儀は変えられる」。ゆくゆくは霊柩車も低公害車に替えたいという。
環境問題への関心の高まりをチャンスととらえ、京滋の多くの企業も環境ビジネスに参入している。京セラの太陽光発電、日本電池の電気自動車用バッテリー、堀場製作所の環境計測機器、村田製作所の待機電力カット用電子回路…。省エネ・省資源に不可欠の技術ばかりだ。 ■37兆円産業に 今月下旬、長浜市で催された滋賀環境ビジネスメッセには、全国から百六十の企業や大学、市民団体が参加。予想の二万人を大きく上回る三万六千人が訪れた。主催した宮崎君武滋賀工業会会長は「うれしい誤算。来場者や企業の反応も上々で、環境産業は将来、滋賀の基幹産業に育つかもしれない」と夢を膨らませる。 通産省は「人々の関心の高まりを追い風に」(新規産業課)、環境産業のマーケットは二〇一〇年に三十七兆円規模に拡大、百四十万人が就労すると試算する。メッセでダイオキシンを発生しない焼却炉を発表した機械メーカー役員は「環境保全、という新しいニーズが生まれている。技術は手元にある。ニーズさえあれば新しいビジネスを産み出せる」と意気込む。 ■浸透いまひとつ しかし、メッセ会場を訪れた大阪市の商社マンは「不況だけに、各企業とも環境対策のコストは真っ先に削りたいはずだが…」と本音を漏らす。環境にやさしい商品の消費者への浸透度も、いまひとつだ。 滋賀県立米原高は今春、ペットボトルを再利用した学生服を全国で初めて導入した。中居和平教頭は「生徒が環境問題を身近に感じられる」と成果を喜ぶが、納入した服地メーカーの社員は「米原高は例外。リサイクル品は割高で品質が落ちる、という誤った思い込みが根強く、なかなか浸透しない」と嘆く。 大手文具メーカーの営業マンは「企業努力でリサイクル製品の価格を安く抑えた。あとは仕入れ担当者の意識次第」と言い切る。環境ビジネスの成否は、消費者や企業の環境意識を高め、ニーズを掘り起こせるかどうかにかかっている。
環境にやさしい商品の使用を働きかける「グリーン購入ネットワーク」(本部・東京)の加入団体は、発足から二年で千六百を超えた。スタッフの水野裕子さんは「企業や自治体の環境意識は着実に高まっている。それが個人レベルの消費行動に結びつけば」と期待をかけている。
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