| Kyoto Shimbun 1998.11.5 |
田園の真ん中に、高さ十四メートルの巨大タンクが立つ。七月から稼働中の八木バイオエコロジーセンター(京都府船井郡八木町諸畑)だ。町内の酪農農家から集めた排泄物で有機肥料を作る一方、発生するメタンガスで最大百四十キロワットを発電する。 ■自治体が活発に メタン発電の実用化は日本初。オーストリア製の発電機を前に、同センターの川勝善弘事務局長は「フル稼働すれば、施設内で使い切れないほどの電力が出る。全国から見学者がひっきりなしです」と胸を張る。
自然と住民の共生を掲げる同町は、中学校や老人福祉施設にも大規模な太陽光発電や太陽熱温水器を設置した。財源も「建設費の大半は国の補助金。町の財源に手をつけず、八木の特色を生かした環境対策ができた」(中川泰宏町長)と自慢する。 一方、滋賀県長浜市と野洲町は今年四月、太陽光発電システムを設置する家庭に、十―三十万円の補助金を出す新制度をスタートさせた。 野洲町の担当者は「すでに五件の交付先が決まっている。問い合わせも多く、住民の関心は高い」という。野洲町内で、太陽光や風力からどれだけのエネルギーを取り出せるか、有識者や市民団体と協力し、試算する計画もある。
市民団体「気候ネットワーク」(京都市中京区)が今夏、近畿地方の四百三十八自治体に行ったアンケートによると、自然エネルギーの普及に乗り出した自治体は四分の一に達し、四―六割が環境教育や省エネに取り組んでいた。また「環境保全のノウハウがほしい」「自然エネルギーの資料はないか」と、協力を求める自治体も多かった。 ■京都会議で転換 先月下旬の夕暮れ、気候ネットワークの事務所で、スタッフと京都市の中堅幹部が真剣な表情で書類に目を走らせていた。京都市が企画する「環境家計簿」の打ち合わせ会合。 京都会議で前身の「気候フォーラム」が活躍した実績を認められ、気候ネットワークは京都市の環境家計簿づくりを実質的に請け負うことになった。「行政の業務を受託できるとは、京都会議以前は考えられなかった。信頼に応えたい」。スタッフの平井一樹さんは意気込む。 京都会議で、地元の受け皿づくりを担当した出野一成京都府環境企画課長は「公害闘争時代には、行政批判ばかりの市民グループもあった。しかし、一人ひとりが原因ともいえる地球環境問題の登場で、市民団体が『行政と一緒に解決策を考えよう』という建設的な姿勢に変わり、協力しやすくなった」と指摘する。
京都府や市、中央省庁の様々な審議会でも、市民グループ代表の委員が増えている。内藤正明京都大教授は「京都会議は、行政と市民がパートナーシップ(信頼関係)を築くきっかけになった。お役所主導だった日本社会が、市民参加型の社会に変わり始めている」と、京都会議の隠れた成果を評価している。
|