Kyoto Shimbun 1997.2.20

  よみがえれ環境 第1部
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ユリカモメ

 京への飛来、急増

京に冬の到来を告げるユリカモメ。年々、増加するのは地球温暖化のせいなのか(京都市中京区、四条大橋付近の鴨川)
 今では京の冬の風物詩になった鴨川のユリカモメは「ミヤコドリ」とも呼ばれる。その雅びやかに舞う群れが、地球環境の変化を告げている。

 京都へのユリカモメの飛来は、今から20年ほど前に初めて確認された。「初めて見たときは、海のカモメが迷い込んできたのかな、としか思わなかった」。市民でつくる「ユリカモメ保護基金」代表の川村周仁さん(48)は振り返る。

 なぜ突然、京都に飛来し始めたのか。日本野鳥の会京都支部の須川恒さん(49)は「70年代以降、全国的にカモメ類が増えている。専門家にとっても大きな謎だ」という。

 ■冬のエサ不足解消

 鴨川で観察されるユリカモメは当初、数10羽だったのが、今では5千羽と急速に増えた。数年前、一時的に9千羽近くまで増えたこともある。「冬のエサ不足が渡り鳥にとって最大の脅威。都市化で残飯が増え、市民の餌づけもあって、エサ不足が解消されたのが大きい」と須川さん。

 京都に飛来するユリカモメは、ロシアのカムチャツカ半島の湿地帯で夏を過ごして繁殖し、厳冬を避けて京都に渡り越冬する。

 70年代からのロシアの研究機関の調査によると、カムチャツカ半島でユリカモメの営巣数が急増した。気象庁のデータは、シベリアの夏の気温が過去50年間に1度近く上昇したことを示している。

 渡り鳥への地球温暖化の影響を調べた世界自然保護基金(WWF、米国)のアダム・マークハム博士は「冷夏が厳しいと卵がふ化せず、繁殖できない。地球温暖化の影響はシベリアなど北極圏で最も強く現れる。ユリカモメの増加は急速に進む地球温暖化のプロローグ」と指摘する。

 ■越冬地も北へ移動

 ガン類は、シベリアから飛来して福島県から滋賀県湖北地方にかけての水辺で越冬する。その越冬地も北へ移動し始めた。

 日本ガンを保護する会(本部・宮城県)の西出隆さん(62)=秋田県山本町=は6年前、1羽のマガンが八郎潟で冬を過ごすのを発見した。越冬するマガンは年々増え、今冬は3千羽を超えた。仲間のヒシクイも88年から越冬し始め、今では1,500羽を数える。同会の呉地正行代表は「地球温暖化による暖冬で、沼が結氷しなくなり、エサが確保できるようになったため」とみる。

 けだし、もっと南下するはずのガンが、東北で越冬すれば、西日本で越冬するガンは減る。「今年は特に暖かい。南下しかけたガンが途中で引き返してきた」と西出さん。

 湖北地方の琵琶湖はヒシクイが越冬する南限とされ、毎年500羽ほどが越冬する。湖北野鳥センター(滋賀県湖北町)長の脇坂清さん(64)は「今年は少ない。一時350羽ほどいたが、暖冬で北へ帰ってしまったよう」と空を見上げた。

 「地球温暖化が進めば、琵琶湖からガンの仲間が姿を消す日が来るかもしれない」。呉地さんは渡り鳥の分布地図の変化を予言している。


                
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