Kyoto Shimbun 1999.3.29 【京都経済 再生】
 第6部 試練の流通 <7>  頑張る商店街
 
 テレビでご用聞きも

 西陣のメーンストリートだった西陣千本商店街(京都市上京区)に十二日、久しぶりに活気が戻った。“撤退”のうわさもあったスーパー西友千本店が、系列会社経営の生活雑貨専門店に衣替えしてオープンしたからだった。「撤退されると、また空き店舗が増える」。塚本貞二・同商店街会長は胸をなでおろした。

高齢者対応の商店街づくりの向けて、空き店舗を調査する商店主ら(京都市上京区の西陣千本商店街)

 同商店街は最盛期の一九六五年、百八十店以上の商店が軒を連ねていたが、現在は百十五店に減少した。十店以上が、いまも空き店舗のままになっている。

 近隣に登場した大型量販店などに奪われた客を呼び戻そうと、これまで、若い主婦や学生向けのイベント、カード事業など、いくつかの対策を試みた。だが、若い世代の客は、再び戻っては来なかった。

 「顧客の半数は五十歳以上で、近所のお年寄りが中心。高齢の顧客とともに生きてこそ、商店街の明日も見えるのでは…」。橋爪秀夫理事長をリーダー役に構想を練り、商店街を核にした高齢者とのネットワークづくりへ、対策を転換することにした。「まず、お年寄りに商店街へ足を運んでもらおう」と、空き店舗を利用した給食サービスや介護用品販売などを計画している。

 店舗数落ち込み

 昨年、京都市山科区と伏見区にある二つの商店街が、京都商店連盟から脱会した。商店主が高齢化して店舗数が減り、連盟の会費負担が重荷になるなどの理由だった。早瀬善男同連盟会長は「京都の商店街はいま、死にかけている」とショックを隠せない。京都府内の商店数は現在、百貨店の増床や大型スーパーの出店ラッシュで、ピークだった八三年の四万千店から三万三千店に落ち込み、空き店舗数が増加している。

 京都産業情報センターの小売商業支援センター(下京区)は、過去四年間で九百三十件の空き店舗情報をインターネットなどで発信・仲介し、うち約六百七十件がコンビニや飲食店に生まれ変わった。だが、「高齢化が進む地域の商店街の空き店舗は、売れ残ることが多い」という。

 商いの知恵必要

 中京区の西新道錦会(安藤宣夫理事長)は今月末から、インターネットで買い物ができる「現代版ご用聞き」実験を始める。ファクスを使った「ご用聞き」、宅配の実績があり、安藤理事長らは「テレビを利用したインターネットなら、お年寄りにも簡単に使えるのでは」と考えた。

 すでに、大手電機メーカーらと共同で、システム開発に取り組み、通産省にも補助金を申請している。近い将来、ケーブルテレビ回線とインターネットの簡易接続器を使って、商品の発注をはじめ、商店街情報、福祉情報を家庭のテレビを通じて提供することを目指す。

 洛北葵商店街(左京区)でも昨夏から、高齢者に対応した商店街づくりの勉強会を開いている。PHSを使った宅配注文受け付けや安否確認システム、高齢者向け店舗マップづくりなどのアイデアがあがっている。後藤重治理事長は「商店街の売り上げにどう結びつけるかが課題」という。

 京都の商店街を研究する古山正雄京都工芸繊維大教授は「商店街が生き残るためには、いま手を打つ必要がある」と指摘し、「福祉や環境など複合サービス機能で、地域の需要を呼び込むことが大切」と、「高齢社会」をキーワードにした、これら商店街の取り組みを注目している。

 二十六年間に渡って地域の商業活動を調整してきた大規模小売店舗法が来年春、廃止され、代わって、大店立地法など三つの新しい法律が、「まちづくり」の視点を盛り込んで登場する。二十一世紀の地域商業を元気あるものにするためには、消費者と手を携えた流通業者一人ひとりの“商いの知恵”が求められている。

第6部 おわり) 


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