チャレンジ京滋の企業

需要高まる「エラストマー」
■金属との接着で脚光
山 王
(滋賀県草津市青地町282の4)

エラストマー部品や自社商品の開発について意見を交わす社員と濱田副社長=右奥(草津市・山王本社)
 ゴムとプラスチックの両方の性質を併せ持つ「エラストマー」は、手触りはゴムのようで加工しやすく軽量。製造コストはゴムの3分の一程度になるため、自動車業界でゴムからの置き換え需要が高まっている素材だ。

 オレフィン系のエラストマーには接着剤がなく、金属と接合ができない難点があった。プラスチック射出成形技術で定評のある山王は、エラストマーをいち早く取り扱い、世界初の金属との接着技術を確立して業界で脚光を浴びた。

 1996年、取引先からエラストマーと金属を使った部品の製造要請があったのが、研究の始まりだった。大手素材メーカーのOBを招き、原料の特性の分析から始めて2年間かかって接着技術を開発した。

 2002年には創造法の認定も受け、接着技術を自動車部品のサスペンション部に使うボールジョイントに応用。金属とエラストマーの複合製品が作れるようになったことで大幅に製造コストが削減できるため、大手自動車メーカーが導入。03年に量産を開始した。この技術が認知され、滋賀県産業支援プラザの事業可能性評価委員会「めききしが」からAランクに認定された。

 もともとは、プラスチック加工技術で部品を製造で成長してきた。大手電機メーカーや化学メーカーの技術者だった濱田和夫社長(61)が、44歳の時に独立して創業した。プラスチック射出成形で電化製品部品の受注が多く、ITバブル期には携帯電話向けのプラスチック部品で大きく業績を伸ばした。

 売上高比率は現在、プラスチック部品の80%に対して自動車部品を中心に伸びているエラストマー部品は20%。だが年々、安価なエラストマー部品の比率が増えている。大手電力会社や造船会社で技術者を経験し、02年に父が起業した山王に入社した濱田省吾副社長(35)は「自動車はIT関連と違い、安定している。エラストマー部品はまだまだ伸びる。比率は本年度で30%にまで上がる」と期待を寄せる。

 今後の目標は、独自のエラストマー技術を応用した自社製品で新市場を切り開くことだ。

 マンホールや消火栓の埋没場所に埋め込み、夜間の位置を分かりやすくする埋没式ライトを独自開発した。太陽電池と発光ダイオードライトをボックスに詰めて、道路に埋め込むが、人間や自動車が踏むとすぐ割れてしまう。そこでカバーをエラストマー樹脂にし、踏むと地面に沈み込む設計にした。また、高速道路の反射灯に付けて表面を掃除するプロペラも開発。中国を中心に内外で8月から納品を始める。

 濱田副社長は「自社製品の売り上げを伸ばして、粗利益も改善させる。エラストマー部品とともに力を入れていく」と話す

メ モ
 山王 1989年に株式会社として山王製作所を設立。2001年に山王に社名変更。資本金1000万円。従業員35人。プラスチック射出成形による部品づくりで成長し、03年6月期の売上高は4億円。 。


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