チャレンジ京滋の企業

下着に使う金銀糸も
■少量多品種で高付加価値に
ミツワ産業
(京都市南区)

「CA−タイプ」の金銀糸の特徴を説明する佐田社長。従来品からの代替も進んでいる(京都市南区・ミツワ産業)
 美しい光沢を放ち、和装や装飾品、ファッションなど幅広い分野で利用されている金銀糸。今では赤や青などさまざまな色の糸を総称して呼んでいる。

 創業以来、西陣織の帯向けに金銀糸を製造販売してきたが、需要低迷に伴い1987年に洋装関連に進出した。現在の用途は和装関連が3割、和装以外の洋服や靴下、カーテン向けなどが7割を占める。

 海外では94年に中国・上海市で工場を操業して普及品を生産。国内では用途を広げるため、創業者が生まれ育った三重県内の工場を中心に、少量多品種で高付加価値の商品開発に力を入れる。

 3年ほど前、生地メーカーから「アンダーウエア向けに金銀糸を使ってみたい」との要望を受けた。

 金銀糸は、アルミや純銀を蒸着させたポリエステルフィルムを芯糸に巻き付けて仕上げるのが一般的。着心地が悪いうえ、蒸着物質を保護するのに必要なコーティング剤は遊離ホルムアルデヒド濃度が高いとされる。アンダーウエアに用いる際の基準(75ppm以下)をクリアするのは難しく、ワンポイント程度に使うのが限界だった。

 二代目の佐田義男社長(56)は「自然環境を快適な方向に戻そうとする活動が進められている中で、金銀糸の有害物質を取り除き環境を少しでも良くしたい」との思いが強かった。試行錯誤の1年後、生産効率を落とさずにコーティング剤から有害物質を低減する技術を開発し、ホルムアルデヒド濃度を平均20ppmにまで抑制できた。

 この新技術を生かした金銀糸「CA−タイプ」は、そのほかの機能も「偶然に」(佐田社長)備わった。人体から出る水分に反応して発生するマイナスイオンの量が金糸の場合、従来品の1・3倍に向上したほか、着心地に欠かせない柔軟性が高まったという。

 同タイプのアンダーウエア利用は徐々に広がりを見せ、和装向けにも関心が集まっているといい、現在は生産量の2割程度が同タイプに切り替わっている。乳幼児向けにも安心して採用してもらえるよう、濃度のさらなる抑制を急いでいる。

 先染めが一般的な金銀糸を後染めで仕上げられるコーティング剤の開発にも余念がない。アパレルメーカーの要望が多様化する中、品ぞろえを増やしてもユーザーの求める色や柄がない場合も考えられる。さまざまな色に染められる後染めによる短納期で顧客満足度を高める半面、在庫リスクを回避したい考えだ。

 金銀糸メーカーは糸商社だけでなく、同業者に販売するケースも多い。家族経営の下請け業者に外注する競合他社が増える中、佐田社長は「ユーザーに応じたものづくりを心掛け、他社とは違う特徴のある商品展開を進めたい」と話す。


メ モ
 ミツワ産業 1966年創業で、71年に株式会社化した。資本金4500万円。従業員は48人。2005年7月期の売上高は10億円で、06年7月期は10億5000万円を見込んでいる。


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