The Kyoto Shimbun

アルミ技術で騒音解決

ブルアンドベア京都市西京区樫原芋峠

 耳をふさぎたくなるような雑音を響かせるテープレコーダー。箱に入れると、音がスッと穏やかになった。ふたは閉めていないのに、90デシベルの音が75デシベルほどに下がった。「音を遮断してるのではなくて、吸収してるんです」。橋本克美社長(42)は、アルミ製吸音パネルが職場などの環境改善に役立っていると胸を張る。

 工場内や屋外の騒音対策用パネルで、プレス機やモーター、空調機など音を発生する機械を囲む。音の周波数特性や機械の大きさ、使用条件などに応じた組み立て用ユニットを受注生産している。産業用の騒音対策では、鉄板やコンクリート、ブロックなどによる遮音・防音が中心だったが、他社に先駆けて20年近く前から軽量で吸音効果に優れたアルミパネルの開発に乗り出した。

 音を軽減させるのに、特別な技術が使われているわけではないという。パネルの構造は、音の反響を抑える吸音材とグラスウールを入れた吸音層、遮音材をフレームに組み込んだもの。吸音材は、ガラス繊維とアルミ箔(はく)を合わせた布状のシートで、小さな穴が無数に開いている。その穴を通った音が内部の空気層で干渉。反射音が小さくなる仕組みだ。

 1964年の創業。父の克太郎会長(70)がアルミメーカーの代理店として、サッシなど主に建材の加工、販売を手がけてきたが、景気後退とともに需要は下降線をたどる。「よそから買ったものを売ってるだけではだめだ。自社製品で勝負する」。第2の創業を目指し、1990年に産業騒音に特化した吸音パネルの会社を立ち上げた。  


自社の吸音パネル製造工場でアルミフレームの加工作業を見守る橋本社長。約250種類の型材をそろえ、顧客の注文に対応する(京都市西京区・ブルアンドベア)
 当時、工場などの細かい騒音対策を専門に手がける業者はなかったという。アルミメーカー勤務を経て、経営を引き継いだ橋本社長は「長年の加工技術を生かして、ニッチ(すき間)分野を狙った」と振り返る。軽くて加工しやすく、さびない。アルミの利点だが、どうやってほかの吸音材より効果を上げるか。

 アルミ板の種類やパネルの厚みを変えたり、構造や音源の囲み方を微妙に変えては、効果をみる実験を繰り返した。10年がかりで幅広い周波数に対応できる製品をそろえた。環境ISOを取得する企業が増えたのも追い風となり、吸音パネルに注目が集まり始めた。

 設計から施工、効果検証までの一貫サービスと、注文後2週間ほどの即納体制が評価され、自動車や機械、食品業界などの大手企業中心に納入先は全国に拡大。2007年10月期の売り上げは、前期比3割増の3億円を目指す。

 橋本社長は「騒音で困っている中小企業も多い。価格を抑えた規格製品の充実など、まだニーズに応えきれていない」と気を引き締めつつ、施工の手軽さや外観の良さを売りに家庭向けへの展開も見据える。

[京都新聞 2007年3月11日掲載]

毎月第2日曜日に掲載します。

≪メモ≫ブルアンドベア
1990年設立。資本金1000万円。従業員17人。産業騒音対策のアルミ製吸音パネルを製造。建材加工の技術力を生かした商品開発が強み。2006年10月期の売上高は2億3000万円。

吸音パネルユニットを組み立てた製品

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