The Kyoto Shimbun

微小部品の移動容易に

シバタシステムサービス宇治市伊勢田町若林

 直径1ミリほどの電子部品に、針のようなペン先を当てる。ペンを持ち上げても部品は引っ付いたままで、ペンのレバーを押し下げると離れる。微小な電子部品などを簡単に移動できる粘着式の「ハイテクピンセット」。開発したシバタシステムサービスの柴田和博社長(58)は、「わずか0・2ミリの部品を運べるピンセットも特注で製作している」と胸を張る。

 ハイテクピンセットは、ペン先から出した粘着樹脂でコンマ・ミリ単位の微小物を引っ付けて、保持する。離すときは、ペン先周りのパイプで保持した物を押し出す仕組みになっている。挟む動作が不要なため、保持した物の表面を傷つけず、窮屈なスペースでの扱いやすさも特徴だ。

 生産設備の設計、製作などを手掛ける同社が、ハイテクピンセットの開発に乗り出したのは6年前。電子部品のテーピング装置を製作していたとき、微小な部品を扱いやすいピンセットが無いことに気付いた。柴田社長は「電子部品は小型化が進んでおり、自分たちで微小物用のピンセットを開発できれば、商品になるはずと考えた」という。

 形状や材質を問わずに使えて、保持した物に残存しない粘着樹脂の開発には約1年半を要したが、2004年に商品化した。昨年5月には特許も取得した。

 微小物の大きさや重さに応じた4種類をそろえ、特注品も製作している。用途は電子部品から宝飾や工芸の分野まで幅広い。工場の生産ライン用に汎用ロボットに粘着ヘッドを組み込んだ自動移載装置も開発し、ハイテクピンセットと合わせて年間1億2000万円の売上高を目指している。

 


ハイテクピンセットの部品を顕微鏡でチェックする開発担当者(宇治市大久保町)
 現在の収益は電子部品などの生産設備の受注開発や改造、メンテナンスが中心で、ハイテクピンセット関連は「緒に就いたばかり」と柴田社長。商社から一般消費者向けの商品化を提案されることもあり、1本約1−2万円になる価格の抑制や量産設備の確保など課題はあるが、「実現できれば大きな市場になるはず」と先を見据える。

 柴田社長は、検査機器などのメーカーで生産部門に長く勤め、管理や総務も経験した。会社設立当初は新規事業を模索し、コンピューターソフトや建築物の設計も引き受けた。「自分たちが持つ能力を生かせるビジネスを探していた」と当時を振り返る。

 05年6月からはハイテクピンセットの技術力や事業の将来性などが認められ、宇治ベンチャー企業育成工場(宇治市大久保町)の一画に入居している。柴田社長は「ようやく微小物という開発テーマを見つけ、他にない技術を確立できた。これから本格的なビジネスへと発展させたい」と力を込める。

[京都新聞 2007年9月9日掲載]

毎月第2日曜日に掲載します。

≪メモ≫シバタシステムサービス
1988年12月設立。電子部品などの生産設備の受注開発。耐熱性に優れたシリコンウエハー用の軽量ラックなどの自社開発製品もある。2005年には中小企業経営革新支援法に基づく経営革新計画の承認を受けた。従業員数12人。資本金500万円。06年9月期の売上高約9200万円。

コンマ・ミリ単位の微小物を簡単に保持できるハイテクピンセット

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