The Kyoto Shimbun

自分だけの花嫁ドレス

ジャクコーセンイ高島市勝野

 床に広がるスカート、幾重にも重なるフリル、胸元に輝くビーズ。女性にとって、ウエディングドレスは関心事の一つ。人生の記念日に着る晴れの衣装にもかかわらず、ほとんどがレンタル。その慣習を打ち破り、「自分だけのドレスが着たい」という女性向けに、オーダーメードのウエディングドレスを製造販売し、注目を集めている。

 「貸衣装のデザインに満足できない人、サイズが合わない人に利用してもらっている。完全受注生産なので、お客さまの要望に応えられる」と、久保慎介社長(30)は自信を見せる。

 久保社長の祖母が50年ほど前に着物の縫製の下請けを始めたのが創業のきっかけ。1970年代に入り、婚礼衣装の洋装化でドレスの縫製受注が増えたのを機に会社を設立。それ以来、有名デザイナーや大手メーカーの下請けとしてウエディングドレスの縫製加工を手がけてきた。

 下請けを脱却し、個人客への直販を始めたのは7年前。人件費の安い海外に仕事を奪われ、会社存続をかけて大阪市に独自ブランドの店を出した。だが、客足は伸びず赤字が続いた。「下請けと違い、材料調達や営業もすべて自分でやらなければならなかったが、ノウハウがなかった」と久保社長は振り返る。

 転機となったのは2003年のインターネットショッピングモールへの出店。「ヴィーヴ・ラ・マリエ(花嫁万歳)」のブランドで、5万円の格安で通信販売したところ話題になった。競合他社の出現もあり、成功しなかったが、インターネットで商品を知ってもらい、実際の来店に結びつける営業方法に道が開けた。

 


時間をかけて顧客からサイズやデザインなどの要望を聞く従業員(高島市のヴィーヴ・ラ・マリエびれっじ店)
 売り上げ拡大を図るため、2005年4月に東京・南青山に2店目をオープンした。その店の売上高は毎月、前月に比べ1・3倍伸びている。地元や京都の人たちにも知ってほしいと、今年5月、高島市に3店目を設けた。

 久保社長は「何でもインターネットで探す時代。会社に知名度がなくても客は気にしない。東京ほどその傾向が強く、価格よりこだわりを大切にする人が多い」と言う。

 各店とも予約制で、採寸や試着などのために客1人にかける時間は2時間。ドレスは1度仮縫いし、サイズやデザインを確認する。イタリアやフランスなど欧州から輸入されたシルクやレースを使い、高島市の本社で手作りしている。にもかかわらず、価格が貸衣装と変わらない20万円前後なのは、自社で一貫生産しているためだ。

 今年6月から「保管が面倒」という購入者を対象に、下取りサービスも始めた。将来は、下取りしたドレスをサイズ直しして格安で販売したり、レンタルする計画だ。

 「少子化で婚礼件数が減少しても結婚式に個性やこだわりを求める傾向はこれからも続く。名古屋や福岡などにも出店したい」と久保社長。将来を見据えながら、次の展開を狙っている。

[京都新聞 2007年10月14日掲載]

毎月第2日曜日に掲載します。

≪メモ≫ジャクコーセンイ
1958年創業、74年会社設立。資本金1000万円。従業員はパート含め18人。2007年8月期の売上高は8300万円。07年1月滋賀県経営革新計画に認定され、同3月滋賀県産業支援プラザの事業可能性評価委員会「めきき・しが」でAランク認定を受けた。

イタリアやフランスの素材を使い、国内で一貫生産しているウエディングドレス

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