The Kyoto Shimbun

ユニーク包装材開発

中川パッケージ京都市南区唐橋

 箱の中でロボットが宙に浮いているように見える。近づくと、透明フィルムが中の品物を挟み込むように固定しているのが分かる。揺すっても中身が動いたり、フィルムが破れたりしないユニークな包装材だ。

 もともと業務用の包装技術を、家庭での装飾用やギフト向けにした包装材セットが「キュービック・フローター」。創業100年の老舗包装緩衝材メーカーの戦略商品として、東北芸術工科大(山形市)の鈴木敏彦助教授と共同開発し、昨年春に発売した。

 よく伸び縮みして強度がある特殊なポリウレタンフィルムと段ボールを組み合わせ、複雑な形や突起物がある品物を包むのに向き、振動や衝撃からも保護する。

 品物をしっかりと固定するためフィルムには強い張力がかかる。パッケージの枠となる段ボールに接着させることが難しかったが、熱可塑性のポリウレタンフィルムを使い、熱を加える特殊な加工法で商品化した。

 創業当時は、陶磁器などを包む、松材を使った緩衝材「木綿(もくめん)」メーカーで、「中川モクメン」の社名で知られた。戦後になって、段ボール箱を中心に包装資材全般の製造加工を手がけ、1969年に現在の社名に変更した。

 その段ボールも使い捨ての大量消費時代が過ぎ、環境への配慮とリサイクルが求められる時代になった。

 三代目の中川仁社長(37)は「緩衝材も時代によって変化していく。今の時代にあった新しい物づくりに挑戦したかった」と話す。特殊なポリウレタンフィルムとの出会いが、新しい商品開発のきっかけとなった。

 ポリウレタンフィルムを使った包装材は、パソコンなどの精密機械を運ぶ業務用で他社が先行している。参入には、付加価値をつけて新しい市場を開拓することが必要だった。個人市場を狙い、おしゃれで、手軽に組み立てられる商品に仕上げた。

 2004年にミラノで開催された家具・雑貨などの展示会「ミラノサローネ」で発表後、ドイツのワイン展でディスプレー用に使われ、国際市場にデビューした。国内でも、業界団体のコンクールで包装アイデア賞に選ばれたり、大阪での国際ギフトショーでグランプリを獲得するなど知名度が高まりつつある。


大型機械が段ボール材を型押しする本社工場(京都市南区)
  同社は現在、段ボール製品が売上高の85%を占めているが、将来はキュービックフローターなど新商品を3割まで増やしたい考えだ。

 原紙の値上がりや激しい価格競争で業界の環境は厳しい。大手製紙会社による中小メーカーの系列化など再編も起きている。中川社長は「これからも新しい包装技術を追求し、独自路線で勝負する」と意欲的だ。

[京都新聞 2005年12月11日掲載]

京都、滋賀には、独自の技術や感性を生かして、全国へ、世界へ羽ばたこうとする企業が数多くあります。「アップロード」はインターネット用語で、情報を発信することを意味しており、躍進、躍動する地元企業を紹介します。
毎月第2日曜日に掲載します。

≪メモ≫中川パッケージ
1943年1月設立。資本金3000万円。従業員71人。段ボールケースの製造、緩衝材ポリエチレンフォームの加工販売のほか、可塑性ポリウレタンフィルム包装材など環境負荷低減商品の開発製造に取り組む。2004年12月期の売上高は15億8000万円。

品物の両面をフィルムで挟み、浮いて見える新包装材。家庭での装飾用やギフト用の需要拡大を見込む

記事一覧

Copyright(C) 1996〜2007 The Kyoto Shimbun Co.,Ltd.