ケータイが変える
1.観 光

嵐山の桜開花 映像で
リアルタイムで周辺情報を提供

 春の陽気に包まれた京都・嵐山にあるそば店の二階。軒下に設置されたビデオカメラが照準を定めると、眼前の渡月橋一帯の風景を携帯電話の画面に映し出した。橋の向こうには、つぼみが膨らみ始めた嵐山公園の桜並木も見える。

 通信システム事業のキンデン(京都市南区)が、最新携帯電話「FOMA」向けに四月末から始めるライブ映像配信サービスで、二条城や大阪・梅田、東京・お台場など全国五十カ所で急ピッチで設置を進めている。

 滑らかな動画再生ができる高速通信を生かし、中継映像と天気、観光情報を組み合わせて有料配信する。浜口博至取締役は「観光地の人出や紅葉などを生の映像で見たいという需要は大きいはず」と期待する。

 三人に二人が持つまでになった携帯端末を観光分野に生かそうという動きが活発になっている。屋外を移動中に情報をやり取りできる利点に加え、位置情報サービスと組み合わせた新たな活用法が注目されている。

 「これからの観光はガイドブックを片手に目的地を探し回らなくてもよくなる」。昨秋、京都で「観光ナビ」情報サービスの実験を行ったNTTドコモ関西の担当者戸部誠さんは自信を語る。

 観光ナビは、観光客が持つ携帯端末の位置情報をもとに近くの名所や飲食店などの情報をメールを自動配信する仕組み。実験は二カ月間に八百人を超える参加者があり、「次回も利用したい」が66%と好評だった。現在地の周辺情報や案内図が入手できるため実際の来店率も高かった。現在の機種でも利用ができるので、その可能性が広がっている。

 位置情報の利用は、すでにKDDIグループが「GPS(衛星利用測位システム)ケータイ」として実用化。京都市も四月から、市バスの接近を携帯電話で確認できる「ポケロケ」サービスに近隣の観光情報を加えて配信する。しかし、魅力的なソフトはまだ少なく、情報量が多い映像などは利用料が高いのがネックになっている。

 ノートパソコンなどモバイル端末への配信手段として外出先でインターネットに接続できる無線LAN(構内通信網)が急浮上してきた。携帯電話より通信速度が格段に速く使い放題なのが特徴で、今春から首都圏で商用サービスが始まる。

 京都でも京都大や京都高度技術研究所、NPOなどでつくる「みあこネットプロジェクト」が四月から実証実験を始める。京都市内を中心に社寺、ホテルなど百カ所以上がアンテナ設置に協力し、高台寺(東山区)を背景にデジタル絵はがきを作成できる独自サービスも予定している。浅野令子事務局長は「低コストの通信環境ができれば、質の高いソフトづくりが加速される」と狙いを話す。

 観光産業のIT活用に詳しい宗田好史京都府立大助教授は「観光客の移動データや提供情報を通じ、新しい京都観光のソフトが発信できる」と可能性を見据えている。

写真=携帯電話へのライブ配信用に渡月橋一帯の風景を狙うビデオカメラ(京都市右京区)

▼ケータイ国際フォーラム 3月26日から京都で開催▼


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