ケータイが変える
4.生 活

窓の開け閉め 手元で操作
本格的普及には 安全策が不可欠

 「窓を開けてみましょうか」。いすから立つことなく研究員が手元の携帯電話を操作すると、頭上の換気窓がゆっくり開き、春風を導き入れた。

 京阪奈丘陵のならやま研究パークにある大和ハウス工業の総合技術研究所(奈良市)。環境対応など次世代住宅の技術研究を担う施設の一角で、IT(情報技術)を駆使した実験住宅が公開されている。

 住宅は、全館の窓の開閉、照明や家電機器をコンピューター管理、インターネットを通じて携帯電話一つですべての監視や操作ができる。リビングには小型カメラが置かれ、外出先から留守宅やペットの様子を確認することも可能だ。

 「技術的には今後何でも携帯電話から操作できるようになる」と同研究所の吉田博之研究員は話す。四月には初の実用化となるケータイ対応マンションを東京都内で販売する。

 情報通信の発達とともに、私たちの暮らしはネットワークに結ばれつつある。家電では、新製品のキーワードはインターネットや他の機器と連携する情報家電、ネット家電。携帯端末との連携によって「家庭用品」の枠を飛び出そうとしている。

 家電業界が二月から東京都内で公開を始めたモデルハウスは、ビールなどが減ると冷蔵庫が自動的にネット注文をしたり、雨が降ると携帯電話の操作でひさしが出る物干し台など多彩なアイデアを提案している。

 外出先のサービスでも、大阪ガスグループが携帯電話で注文を受けた夕食食材の宅配事業に乗り出した。オムロンは、携帯端末に鉄道やコンサートの入場券機能を持たせるデジタルチケットの開発を進めている。ゲート通過時に無線通信で予約状況を確認する仕組みで、「情報の入手から購入、チケット利用まで端末機だけで済ませられる」(SSBカンパニー担当者)と将来性を語る。

 京の台所で知られる京都錦市場商店街(中京区)は一昨年十一月、いち早く携帯電話のネット接続サービスで全百二十一店の情報を発信、うち約四十店が売り出しや受注に活用している。

 今では若い主婦や観光客らが店頭で「10%割引」などのクーポン画面を出して鮮魚や湯葉などを買う姿が増えているという。推進役の三田冨佐雄販売促進委員長は「時代に遅れず、上手に使っていけばよい」と新たな買い物道具を表現する。

 これら生活関連の技術、サービスは私たちの行動の制約や手間を省いてくれる半面、「必要以上の便利さ」(吉田研究員)を生み出し、家庭内までネットを通した侵入を許す恐れも指摘されている。誤作動やネット犯罪への防御策と端末機による安全で確実な代金支払い「モバイル決済」が確立できてこそ本格的な普及につながる。

写真=室内でも外出先からでも携帯電話で窓の開閉や家電の操作ができる実験住宅(奈良市)

▼ケータイ国際フォーラム 3月26日から京都で開催▼


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