Kyoto Shimbun 2004.3

職人生かして独自色
  麻小路(麻専門店・京都市中京区御池通堀川西入ル)

各種の麻製品が並ぶ店には、遠方からの観光客の姿も目立つ(京都市中京区)
 「麻」の一字を記した真っ白な麻ののれんが、京町家の軒に翻る。その下をくぐると、約100平方メートルの店内に所狭しと麻製品が並んでいる。

 コースターやスリッパ、シャツ、帽子、ボタン糸など日常使いのものがあれば、のれんやロープ、蚊帳、ドンゴロスも。神社用の鈴縄、獅子舞の毛まであり、古来、人間の暮らしと密接にかかわってきた麻が豊かな表情を見せる。

本物にこだわり

 店内に置いている商品の素材はすべて麻100%だ。化学繊維はもちろん、木綿、絹の他の天然繊維も排し、徹底的に麻にこだわった。小泉光太郎社長(68)は言う。「麻を知らない人が多過ぎる。ここで本物の麻を見てほしい」

 1945年創業の京都麻業(中京区)が経営する。もともと荷造り材料として麻のロープを販売する会社だった。だが、麻ひと筋だったわけではない。化学繊維の波に押され、麻のロープは次第に使われなくなった。結ぶ必要のないものも増え、京都麻業は化学繊維製品も含め産業用繊維資材を幅広く扱うようになった。

 新事業として「麻小路」を設け、原点である麻に回帰したのは90年。「京都ならではの商売のあり方を突き詰めた結果だった」と小泉社長は振り返る。「麻はうちの本業。麻でオンリーワン、ナンバーワンを目指したい」

 96年には「湿気を吸っては吐く生き物のような麻には、木や土が似合う」と酒問屋だった町家に店を構えた。大きな吹き抜けがあり、屋内に井戸も備えた家だ。二条城のそばという立地もあり、京都らしさの漂う店をのぞいていく観光客も多い。

 仕入れて売るだけではない商売をしやすいのも、京都ならではだ。豊富な職人層を生かし、商品を企画、発注してオリジナル商品を作っている。「屋号の入ったのれんをつくってほしい」「神社の鈴縄を修理したい」などの要望にも、オーダーメードで一つひとつ丁寧に応じる。

 麻のプロらしい商売を心掛けている。軸を使うマニラ麻が固いのに対し、葉を使うサイザル麻は柔らかく肌になじむ。店を訪れる客に「何にお使いですか」と声をかけ、用途に合ったものを勧める。この地に店を構えて8年ながら、店の年商は約3000万円に上る。

まちの魅力も

 店づくりは、店の舞台となるまちづくりにもつながった。小泉社長は2002年秋、御池通の千本−堀川間の商店や会社有志に呼び掛け、京都二条城城下町振興会を発足した。

 「二条城や神泉苑、二條陣屋など地域の歴史に光を当て、にぎわいを生み出したい」。麻とまち−双方の魅力を引き出し、伝えようと力を注いでいる。

 ここがポイント
<限定販売などで特色を>
 京都産業21商業支援課の澤井照明氏
 必要だから、安く多く買う時代は終わった。もう大量販売を目指してはいけない。徹底したメンテナンスや、売り切れたら終わりの限定販売など店に特色を持たせることが求められている。本物の麻へのこだわりもその一つ。時代に合った店のあり方だ。

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