Kyoto Shimbun 2004.5

サービス 小回り利かし
  ムライ(ディスカウントショップ・京都市伏見区深草西浦町)

来店客に商品を説明する村井社長(左)=京都市伏見区
 龍谷大から南へ約200メートル。交通量の多い師団街道沿いに3階建ての店舗兼事務所がある。1、2階には食料品や菓子、日用雑貨、電化製品、医薬品など約2万種類が並び、社名が入った赤色のポロシャツを着た社長の村井清さん(79)や社員らが商品説明やレジ業務に追われる。

 村井さんは、まだ戦後の物不足時代だった1950年、菓子を製造していた知り合いがいたことから、菓子の小売を始め、事業を菓子原料の卸にまで広げた。

スーパーに対抗

 55年以降、スーパーの登場で取引していた小売店が減った。「価格競争では小売店はスーパーに勝てない」との危機感を募らせ、69年に多くの品ぞろえから客が好きな物を買って持ち帰る「現金問屋」という販売スタイルに変更した。

 従来の問屋は受注から配達、集金と最低3回は小売店に足を運んでいた。こうした手間を省こうとした村井さんだったが「先輩からは『問屋の面汚しや』と怒られた」と苦笑する。

 69年当時、基本的には食品と菓子の小売業者を相手にしていたが、団体ツアーを企画した旅行業者や催しを間近に控えた地域住民らも来店するようになった。こうした小売業者以外の客の多様な要望にこたえようとするうちに、取扱品目が広がっていった。

 現在は京都や滋賀、大阪に計5店舗を構えており、メーカーや全国展開する一次問屋の計約500社と取引している。同店の販売価格は、定価よりも平均2−3割安く、小売業者以外の客が約8割を占める。中には、大量の食材を共同で購入した後、分け合う主婦グループもある。

 仕入れる商品は「客に聞くのが1番」。消費者から問い合わせはあったが店に置いていない商品をすべて記録しておく。同一商品に関する問い合わせが複数あれば、仕入れ先を探し始める。

頻繁に陳列替え

「気温が前日と5度違うと、人は食べ物が変わってくる」と天候にも気を配る。食品売り場では、小回りが利く特長を生かし、商品配列をこまめに変える。

 社員らの頑張りには、「会社は社員に利益を分配する義務がある」との社是に基づき、利益が出れば年2回のボーナス以外に臨時ボーナスを支給する。

 大手スーパーとの価格競争は激しさを増している。130−150円のカップラーメンを、ほぼ半額で販売する大型店もあるが、ムライでは100円を切るのが精いっぱいという。

 それでも村井さんは「消費者はいい物を買いたいとか、売り手の商品説明がいいとかで店を選ぶ。うちらの店は客が重い商品を買ったら客の車まで運んで積む。そういうサービスが大事で、大型店ができないことをしたい」と意気込む。

 ここがポイント
<売れ筋 どこよりも早く>
 取引先の食料品卸、大物(大阪市)の日阪一郎社長
 現金問屋という販売方法を活用したのは京都地区では一番早かったと思う。年中無休で、売れ筋商品を示し、欲しがる物をどこよりも早く店頭に並べるなど、消費者の要望と期待に沿った商法を持っている。

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