Kyoto Shimbun 2004.8

納得のうまさ追求
  はちぼく屋(米屋・京都市左京区下鴨神殿町)

ショーケース内のコメの様子を確かめる山下さん(左)と妻の由香子さん=京都市左京区

 下鴨本通沿いにあるガラス張りの店舗は一見、おしゃれなブティックを思わせる。明るく広々とした店内は、従来のコメ販売店のイメージを一新した造りだ。

 店舗内には、種類別にケースに入れられたコメが詳細な説明書きと共に並び、客は実際に商品を見て量り売りしてもらえる。置いているのはコメ九種類ともち米一種類。どれも全国各地の農家から直接取り寄せている無農薬、減農薬のコメばかりだ。

 店主の山下幸徳さん(39)のこだわりは「消費者の視点」。仕入れるコメは、島根県や宮城県などの生産農家を実際に回って、食べ比べて決めた。価格も消費者モニターの主婦などに実際に食べてもらい、味と価格の釣り合いを聞いて決めているほどのこだわりようだ。

食感、鮮度を重視

 開業したのは、2002年7月。経営コンサルタント会社に長年勤めていた山下さんは、開業まではコメに関してまったくの素人だった。だが、実家の愛媛県で無農薬ミカン農家に育った経緯もあり、農業への関心も強く、「消費者が求めるおいしくて安全なコメを自分で扱いたい」(山下さん)と一念発起。妻の由香子さん(39)と二人三脚で開店した。

 コメは「やわらかい目」「かたい目」「もちもち」など食感ごとに3種類に分けて、客が選びやすくしている。コメがおいしく食べられるのは、精米してから二週間程度。そのため店舗では、一度に大量のコメをあえて売らない。客には2−3週間で食べきれる量を説明して、納得してもらってから買うことを勧めている。精米について説明を聞き、1−2キロ分を買っていく客が多く、配達も1キロ分から行っている。

精米は購入時に

 コメはすべて玄米で仕入れ、五分づき、七分づき、はい芽精米など、買う時に精米してもらえる。店舗内にはテーブルを置き、精米している間に客が会話を楽しめるように工夫もしている。コメについて説明をして、納得してもらいながら売る対話式の商売が基本だ。

 こだわりのコメを集めているため、リピーターが多いのも特徴だ。下鴨の住宅地も近いため、安心でおいしいコメを求める年配客の姿も多い。広告などはまったくしていないが、徐々に口コミで広まり、新規の客層も開拓も進んできた。

 最近の健康志向もあって、玄米を買いに来る客も増えている。店舗には、伊予かんジュース、そば、そうめん、ミネラルウオーターなど健康に気遣った商品や炭、釜などコメに関連した商品も置くなど提案型の新コメ屋を目指している。

 まだまだ開店から2年。山下さんは今後を見据え、「消費者の立場に立った細かいサービスを積み重ねて、他店が追従できないノウハウを蓄積していきたい」と独自路線を突き進む。

 ここがポイント
<消費者の視点で成功>
 京都産業21の横倉孝司商業アドバイザー
 素人の目線、消費者の視点が奏功している。よいコメを厳選して集め、量り売りにすることで単価も高く、ミドルの客層に絞り込んでいる。
 店舗も明るくファッショナブルで空間づくりにも成功している。

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