Kyoto Shimbun 2004.11

こだわりの作品提供
  ぎゃらりい千づ(工芸品店・京都市中京区夷川通東洞院西入ル)

町家を改造した店内には、作家の個性的な作品が並ぶ(京都市中京区)

 「家具のまち」として知られる京都市の夷川通り。長引く不況で現在、家具店は約40店に減り、往時のにぎわいが薄れている。風情のある町家も目立つが、ここ数年でマンションや駐車場なども増えてきた。そんな夷川通りに最近、近代的な感覚の店構えの花屋やパン屋が開店し、まちの雰囲気が少しずつ変わり始めた。

 築100年を超えるという自宅の町家を改装した「ぎゃらりい千づ」もそのうちの1店だ。店主の山科文子さん(63)が、通りに面した店舗部分約30平方メートルを改装して、1996年9月にオープンした。当時、介護をしていた義母(故人)が陶器やガラス製品などが好きだったためで、玄関と居間に使っていた空間は、近所の人も気軽に出入りできる明るいサロンに生まれ変わった。

作家が品ぞろえ

 ギャラリー機能もあるが、貸し出しはしていない。陶芸品やガラス製品、布細工など各分野で活躍する京都市と滋賀県の作家5人と専属契約し、作家自らが常設で品ぞろえする仕組みで、展示品はすべて商品にもなっている。

 作家は毎年1回店内で個展を開くほか、季節ごとに展示品を変えるなど、作品発表の場として利用している。

 「並べる品物は作家さんに任せている。お客さんには四季折々に見せるそれぞれの作家のこだわりを楽しんでほしい」と山科さんは話す。

 和紙で包んだ照明や、古い着物の生地を使ったバッグ、花柄のパッチワーク、ネコを染め抜いた京友禅職人による濃紺ののれんなど、この店にしかない一品ものだけが店内に並んでいる。

常設点数200以上

 ウルシでチョウや花柄を描いたブローチやイヤリングなどの装飾品や、紙を立体で見せるペーパーアートの年賀状など遊び心のある手ごろな品もそろう。常設点数は200を超える、という。

 棚に並ぶ花器や皿、つぼなどの陶芸品やガラス細工。大きなショーウインドーの前を通りがかった人が、思わず店に入って注文していくことも多い、という。夷川通りを散策中に立ち寄った外国人から注文があり、大型の照明を空輸したこともある。

 数千円の小皿、2、3万円の装飾品から、30万円以上の香炉まで品ぞろえは多種多様だ。山科さんは「それぞれの作品を実際に目で見て、手にとるだけで、十分に楽しめるのでは」と話す。

 注文を受けたあとは、専用のキリ箱に入れ、作家の朱印を押す。「作家が心を込めて作った品なので、この作業に値打ちがあるんです」。山科さんにとっては作家と消費者をつなぐ喜びを感じる瞬間でもある。

 午後6時の閉店後も店の電飾はしばらく消えず、オレンジ色の照明が通りに映える。来年は開店から10年目。この淡い光には、夷川のまちをいつまでも守りたいという思いもこもっている。

 ここがポイント
<消費者との出会いの場>
 常設出品している陶芸家の片山雅美さん
 常設で自由な作品展開ができるため、作家にとってありがたい場所で、消費者との出会いの場にもなっている。店の造りも趣がある。今後もこだわりを持った日用品を提案していきたい。

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