Kyoto Shimbun 2004.12

友禅染アロハで脚光
  亀田富染工場「パゴン」(衣料製造小売り・京都市右京区西院西溝崎町)

店内にはユニークで奇抜な柄の京友禅アロハが並ぶ(京都市東山区八坂新地清本町・パゴン祇園店)

 店内の格子戸から芸舞妓がそぞろ歩きする姿が見える祇園・八坂新地。元はうどん店だった京間四畳半程の小さなスペースが、友禅染アロハシャツで全国から注目されている亀田富染工場のアンテナショップ「パゴン」の祇園店だ。「撮影で祇園を訪れたスタッフやタレント、観光客が珍しいものを見つけたと買って下さいます」と亀田和明社長(51)が話す。

本物志向に合致

 店には大正から昭和にかけて着物に描かれた奇抜で優雅、迫力のある伝統の友禅柄のアロハシャツやカットソー、ジャケットなどが所狭しと並ぶ。着物と同じ手捺染(てなせん)による技法でベテラン職人が染めるため、本物志向を求めるニーズに合致。歌舞伎俳優やタレントも祇園店に訪れるなどひいき客が増えている。

 亀田富染工場は1919年創業以来、友禅着物の委託染色加工をしてきた。三代目の亀田社長が跡を継いだのは84年。以後、和装業界が低迷、洋服生地の染色も始めるが、「米つきバッタのように賃加工をする日々。いつか自分のブランドを持つのが夢だった」と話す。所蔵する約6千の友禅柄の図案に着目し、2001年に1枚だけアロハを仕立てて、社長自らが着て街に出たところ注目を集め「これはいける」と実感。南洋の言語で「亀」を意味する「パゴン」をブランドにした。

 2002年7月に右京区の工場内に本店を設け、03年3月に祇園店もオープン。全国の百貨店からも引き合いがあり、今年は約10カ所で期間限定で出店した。「生意気ですがそのエリアの一番店で、店内でも海外ブランドが並ぶような一番のスペースでないと出店しません。作れる量がしれているのでステータスを守りたい」(亀田社長)と方針を貫く。

 デベロッパーから東京・表参道の路面店進出を持ちかけられたが「京都らしい空気に触れて買ってもらいたい」と思い直した。インターネットで商品や製造工程は説明するが流行のネット販売はしない。卸売りもしない。

 アパレル販売と委託染色加工の売り上げに占める割合が7対3までになり、うまく業態転換を成し遂げた。

自前工場の強み

 工場を持つためシーズン中でも売れ筋商品を追加発注できるなどファクトリーブランドの強みを生かす。  アロハの人気は老若男女を問わないため、20代のアルバイトを含め20人の従業員全員で商品開発にあたる。店頭で顧客から聞いた意見はすべてパソコンに入力しスタッフで共有する。図柄がコピーされるといった類似商品対策など課題も出ている。

 亀田社長は「京都の和柄にはDNAが宿っているのか、時代を越えて日本人を魅了する。まねされても他社より半歩でも前に出て、京都からアロハを発信し続けたい」と意気込む。

 ここがポイント
<こだわり貫く姿に学ぶ>
 京都発ブランド「seisuke88」を展開する 高橋聖介高橋練染社長
 和柄を現代の姿にリバイバルさせたパイオニアだ。手捺染による本物を追究し、風情ある祇園に若者の目を向けさせた。こだわりを貫く姿は同業者として学ぶべき点が多い。

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