Kyoto Shimbun 1999.3.11 私の経営論s
 グローバルに体質強化
アサヒビール社長
福地 茂雄氏

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 98年のビール出荷量で、45年ぶりにトップの座に返り咲き、その発表から1週間後の1月19日、瀬戸雄三氏(現会長)からバトンタッチを受けて社長に就任した。発泡酒の台頭で伸び悩むビール市場で、前年比5.6%増の快進撃を続ける主力のスーパードライ販売の陣頭指揮にあたってきた。国内トップから海外へと、積極展開を進めるアサヒビールの福地茂雄社長にグローバル戦略、21世紀に向けたビール産業の行方などを聞いた。

 攻めの姿勢を維持

 ―四十五年ぶりのシェアトップの感想は?

 「実は、全社員の中で、45年前のシェアトップを知っているのは瀬戸会長だけだった。だが、出荷量発表の際は、シラケ世代といわれる若い社員たちも非常に感動した様子。ある夢が達成できた感動は世代に関係ない。97年はスーパードライが単独銘柄としてトップ、今回はビール全体でトップになった。夢が次の夢の実現につながる。夢を絶えず描き続けることが大切だ」

 ―これからは追われる立場になるが、トップシェアをどう守るのか。

 「守るなんて、とんでもない、まだまだ攻めの時代。国内でトップシェアというのは、ひとつの通過点にすぎない。世界のビール産業の流れは、グローバル化を目指すか、ドイツの多くのメーカーのように国内に徹するかだが、わが社はグローバル化を志向する。そのためには企業の体格、体質を強化していかなければならない」

 北米、欧州、中国へ

 ―どのようなグローバル戦略を考えているのか。

 「北米のマーケットは、カナダの生産拠点から供給し、欧州についても今年中に生産拠点を決め、来年から現地生産に入りたい。中国は、現在世界第2位のビール消費国で、21世紀には世界トップになるだろう。市場拡大を見込んで、現地企業との合弁で5社6工場が稼働している。だが、海外へ出て行くだけがグローバル戦略ではない。国内の営業基盤を一層強くしておかなければ、世界に通用しない。消費者、株主、社員、そして社会への責任をきちっと果たした上でのグローバル戦略でないと、大競争は勝ち抜けない」

 ―発泡酒を含めた市場シェアはキリンビールがトップ。大手4社のうち3社が発泡酒を生産しているが。

 「現段階では発泡酒を生産するつもりはない。アンケート調査では、発泡酒を飲む消費者の87%が『価格が安いから』と答え、飲まない人の44%が『味と品質に不満』としている。『最高の品質を』というのが経営理念だから、今の状況では製造しない、という判断だ。消費者の低価格志向は分かるが、景気が少しでも回復すれば、『やはりビール』になるのではないだろうか」

 ―京都のビール市場を、どう見ているか。

 「81年から3年間、京都支店長を務めた。その後4年間、大阪支店長、支社長だった。観光客の影響もあるのだろうが、京都の1人当たりビール消費量は全国トップ。その市場で、推定44%のシェアを頂いており、わが社にとっては非常にありがたいマーケット。『京のぶぶ漬け』と言われるが、私にとっては人情厚い赴任地で、今でも家族ぐるみのおつき合いをしている方も多い。心のこもった行動、販売を通じて瀬戸会長の戦略を一層スピードアップしたい」

(政経部 直野信之)

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