Kyoto Shimbun 2000.7
学校など全国200施設に 「デジタルウェイ」と名付けたこの通信システムは、マンションの屋上のアンテナから各部屋までつながるテレビ共聴線の同軸ケーブルを利用している。一本のケーブル内にテレビの周波数信号とコンピューターの電気信号を自社開発の混合器から同時に流す仕組み。各部屋には両信号を分配するユニット(端末)があり、テレビとインターネットを同時に使用できる。 「既存のテレビ線を利用するため、新築時でなくても、簡単な工事で取り付けられる。インターネット社会に必要なインフラとして急速な普及が期待できる」。大中忠生社長(38)は、分譲マンションや学校施設など全国の約二百施設での実績に胸を張る。 p 大中社長のベンチャー精神は、長年の研究開発職の中で培われてきた。徳島大大学院工学研究科を卒業し、一九八六年に就職した大手化学メーカーの東ソーでは、血糖値の測定などに使うシリコン系素材などの開発に没頭した。 九一年に工場の運営部門への異動を命じられると、迷うことなく、先端技術を受託研究している大阪ガス系の総合シンクタンク関西新技術研究所(京都市下京区)に転職した。「好きな研究を続けたかっただけ」と言い切る。 テレビ配線に注目 研究の成果を企業などに提供してきた大中社長が「一度は自分にかけてみよう」と独立したのは、九六年のこと。同研究所で出会ったインターネットが一つのきっかけだった。九四年に「インターネット」という言葉を初めて耳にした時は「意味が分からなかった」と振り返るが、使い始めると同時に爆発的な普及を直感したという。 「インターネットのインフラ整備のために、新たに回線を引くのではなく、すでに各家庭に行き届いている配線をうまく活用できないか」。家庭内でもっとも大容量のテレビ配線に注目し、テレビの周波数信号とコンピューターの電気信号を混合、分配する機器の開発に着手した。 独自の通信システムの完成からわずか三年余り。今後手がける分譲マンションすべてに採用を決めた不動産業者も現れ、受注ペースは加速している。「今の若い人たちにとって、インターネットはテレビや電話、冷暖房施設などと同じく、生活の中で必要不可欠な存在になった。数年後にはこのシステムに対応したマンションが当たり前になるだろう」。IT(情報技術)関連では珍しい研究開発型メーカーは、来春にも上場を予定し、若い社員たちとともに飛躍を目指す。
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