The Kyoto Shimbun

微量計測 磨きで実現

コフロック京田辺市草内

 特定機器の中を一定時間にどれだけの気体が流れているか。窒素や酸素、排ガスなど気体の微少流量を計測、制御する技術は現在の産業社会に不可欠と言える。工業用ガスの発生装置やアスベスト検査器、燃料電池の評価装置など用途は幅広い。

 気体の流量計測には内部が空洞になったガラス管を使う。空洞の下から気体を流すと指標となる玉が浮かび、その位置からガラス管の目盛りを読み取る。ガラス管につないだバルブで流量を制御する。

 これら微少流量域の計測部品を約60年前から専門的に研究開発してきた。同業界は国内で約20社あるが、主力の気体流量計は国内シェア8割を占めるまでになった。

 強さの秘密は、1分間に0・5ミリリットル水準の超微少な流量計測を可能にするガラス管内部の構造にある。空洞の断面は三角おにぎり型。顧客需要に合わせるため製品の種類は膨大だが、長さ約10センチのガラス管の場合、空洞は幅2ミリ前後となる。

 硬質ガラスの加工には内製している金型を使う。金型やガラス管の内側は気体の流れを阻害しないようにサンドペーパーややすりを使い、手作業で磨き上げる。社内で脈々と受け継いできた手技。林光春専務は「内面には傷一つない」と胸を張る。内部構造が精密なため指標の玉がふらつかず、誤差範囲も前後2%の低水準にとどまる。  


ガラス管とバルブを組み立てる。機械工程はほとんどない(京田辺市草内・コフロック京田辺工場)
 流量を制御するバルブもガラス管と合わせて製造販売している。すきまを作るために先端の側面を約0・01ミリ削った直径約1ミリのステンレス製の針を樹脂の中で前後させ、針と樹脂のわずかなすき間を流れる気体の流量を調節する。

 指でひねるねじの回転が針の前後の動きに変わる仕組みで、高い性能と利便性が受けた。1969年に発売し、現在も売れ続けるヒット商品で、累計出荷数は50万個を超える。

 計測機器大手の下請けから出発したが、ガラス管の付加価値を高めて独自製品を生み出した。2代目の小島久寿社長は「手作業で磨き上げるたくみの技がベースにあるから新しいハイテクが生まれる。ローテクとハイテクの共生が当社のものづくりを支えている」と話す。

 近年は産学連携にも力を入れ始めた。京都大大学院と微小電気機械システム(MEMS)を使った低消費電力の小型ガス流量計を開発し、2月に発売した。伝統の精密技術が最新のデジタルテクノロジーと融合しながら、その領域を広げている。

[京都新聞 2007年4月15日掲載]

 脈々とものづくりの技が受け継がれている京都と滋賀には、こだわりの技術を磨き上げ、業績を伸ばしている企業が数多くある。大手企業の製品を影で支える京滋の中小企業の独自技術に光をあて、ものづくりの原点を探る。  毎月第3日曜日に掲載します。

≪メモ≫コフロック
1949年旧田辺町で創業。74年会社設立。97年小島製作所から社名変更した。従業員約230人。資本金4億円。2006年3月期の売上高は34億円。

内部を磨き上げたガラス管。独自の構造で指標の玉が正確な位置に静止する

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