The Kyoto Shimbun

廃木材を舗装に活用

田中建材(高島市今津町)

 高島市今津町の琵琶湖岸。草むらの間に伸びる遊歩道は、黄土色で一見すると土の道のようだが、歩いてみると土の感触はなく、表面に木くずのようなものが見える。実はアスファルト舗装だ。

 「木のチップを、樹脂で固めた舗装は以前からあるが、アスファルトの舗装材料に使ったものはかった。熱を蓄えにくいのでヒートアイランドの防止になり、コストも樹脂舗装より1−2割安い」と田中稔専務は自信をみせる。

 道路整備などの土木工事を手がける田中建材が、歩道用木質加熱アスファルトの開発に乗り出したのは8年ほど前。公共工事が減少する一方で、手がけた解体工事で発生した廃木材が、処分できずに資材置き場に次々と積み上がっていたのがきっかけだった。

 焼却も考えたが、焼却炉が高額な上、環境面から規制が厳しい。堆肥(たいひ)などにリサイクルすることも試みたものの、用途や需要が広がらない。そんな時、ふと思いついたのが、アスファルト舗装の骨材として廃木材を使うことだった。「アスファルトなら、全国どこの道路でも使われる。その材料として使えば、需要も大きいはずだ」と田中専務はよんだ。


田中建材が自社開発した加熱混合炉。木のチップや石油残さなどを加熱しながら混合する(高島市今津町)
 だが、道路舗装工事を手がけたことはあっても、舗装材料の開発は全くの素人。アスファルトは、液体状の石油残さを加熱しながら細かい砂利や石粉などを混ぜて作るが、砂利の代わりに比重の軽い木のチップを入れると、均一に混ざらない上、熱で燃える可能性もある。舗装会社に共同開発を持ちかけたが「できるわけない」と断られた。

 あきらめきれず、会社で屋外に置いていた湿った廃木材のチップで実験したところ、偶然にも混合に成功。チップにある程度水分がある方が、熱した時に蒸発して石油残さが泡立ち、比重が均一になって混ざりやすいことがわかった。

 「アスファルトに水分は禁物というのが、専門家の常識だった。でも、その常識がない素人だったから開発できた」と田中専務は振り返る。

 2003年から3年間、環境省の補助を受け、独自に加熱混合炉を開発。05年には製造技術と装置の特許も取得した。同時に、本格的な施工も始め、これまでに東京競馬場や神戸ポートアイランド、メリケンパークなど全国32カ所で、公園や緑地の舗装に使われている。売り上げも06年6月期は1000万円、07年が4000万円と徐々に拡大してきた。

 田中喜久次社長は「地域の小さな建設会社にとって、年間の売り上げに匹敵するほどの開発投資をするのは、大きなリスクだった。だが、じっとしていても生き残れない。この木質加熱アスファルトで差別化を図りたい」と力を込める。将来は、フランチャイズで技術を全国展開するとともに、東京の銀座、大阪の御堂筋に自分たちのアスファルトを敷くことを夢見ている。

[京都新聞 2007年11月18日掲載]

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≪メモ≫田中建材
1960年創業、67年会社設立。従業員20人。2007年6月期の売上高は約3億円。木質加熱アスファルトの開発で、これまで第6回グリーン購入大賞優秀賞や2007年度NBK大賞環境ビジネス賞などを授賞した。

木質加熱アスファルトで舗装された遊歩道(高島市今津町の琵琶湖岸)

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