The Kyoto Shimbun

ニーズ開拓 商品化へ

東洋竹工(向日市寺戸町)

 細く割り、先を熱で曲げた竹を、小刀で手際よく削る。やすりで磨き終えると、手触りの良い茶杓(ちゃしゃく)の形に仕上がる。「茶道、華道、書道と道がつく分野には、もともと竹を使った道具が多い」と大塚正洋社長(60)は語る。

 JR向日町駅(向日市)のすぐそばに立地する東洋竹工は、竹製品の卸売りや製造を行っている。商品は伝統的な竹製の道具をはじめ、竹を使った和雑貨やインテリア品まで幅広い。大塚社長は「顧客のニーズに対応しているうちに、商品の種類がどんどん増えてきた」という。

 東洋竹工は約50年前、大塚社長の父が設立した。当初は竹製のコースターなど輸出向けの商品が中心だったが、より安定した受注を目指して国内に販路を広げた。

 京都の竹製品業者としては後発組となるため、竹の用途開発や市場の開拓には積極的で、商品化の要望にも可能な限り応じている。2年前にはホテルから依頼を受け、幅約3メートル、長さ約6メートルの天井照明のカバーを竹で製作したこともある。


細い竹を削り、手際よく茶杓の形に仕上げる社員(向日市寺戸町・東洋竹工)
 「昔は材料として竹がよく使われていたが、今はあまり見ない。そんな物を探し出すことが、商品化のポイント」と大塚社長は説明する。これまでに竹の印材や筆などを商品化した。一方、はしやスプーンなど新たに竹を取り入れた実用品が、女性を中心に好評だという。

 販売面では卸売りだけではなく、インターネットなどを通じた直接販売を試みている。販売促進の一環で、竹製品づくりの体験教室の開催にも力を入れている。大塚社長は「竹林の多いこの地域を訪れ、竹の魅力に触れてもらった上で、良質な竹製品を紹介したい」と話す。

 教室や小売りを通じて消費者と直接、接することで、ニーズをより早く、的確に把握し、竹の用途開発に反映させる狙いもある。15年ほど前から続けている体験教室の依頼は近年、増加傾向にあり、昨年は出張開催も含めて約30回実施した。体験教室を含め、直販体制を構築して製造小売を目指す試みは、今年9月に中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画として京都府の承認を受けた。

 竹製品の市場は、アジアの安価な製品との競争が続いている。さらに、放置竹林の問題にみられるように、間伐など地道な作業で良質な竹を提供している竹材業者の高齢化と後継者不足も、深刻化しているという。

 「良質な竹は今後、価格が上昇する可能性もあり、今から競争力をつける必要がある」と大塚社長。一方、「竹の使い道が広がり、需要が拡大すれば、竹材業者の収入増にもつながり、やがては業界全体の活性化になる」と、さらなる商品開発に意欲を見せる。

[京都新聞 2007年12月16日掲載]

 脈々とものづくりの技が受け継がれている京都と滋賀には、こだわりの技術を磨き上げ、業績を伸ばしている企業が数多くある。大手企業の製品を影で支える京滋の中小企業の独自技術に光をあて、ものづくりの原点を探る。  毎月第3日曜日に掲載します。

≪メモ≫東洋竹工
1959年12月設立。資本金3000万円。従業員11人。2007年10月期の売上高は約1億2000万円。3年前に製造部門を分社化した「華洛」も竹製品の製造、販売を行っている。竹製品づくりの体験教室は花かごと茶杓の2種類あり、参加者3人以上の申し込みで実施している。

花器からテープカッターまで幅広い竹製品を扱う東洋竹工の商品

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