The Kyoto Shimbun

味わい深い古材再生

丸嘉(京都市伏見区)

 ベニヤ板などが山積みされた倉庫の一角。黒光りしている太く長い梁(はり)や柱が、一本一本、大切に陳列されている。隣には、かつて床の間や台所の床板だった幅広の板が壁際に並ぶ。

 「築百年前後の町家から取り出した古材です。切り出して100年前後の木材は最も強度が増し、懐かしさや癒やしが感じられる。捨てるなんてもったいない」。小畑隆正社長(37)は力を込める。

 同社は、江戸時代末期から続く材木卸。長年、建築会社や建具メーカーなどに木材を販売してきたが、こだわりの住宅を求める一般消費者向けに無垢(むく)材や古材を販売し、注目を集めている。

 同社が一般向け販売を始めたのは小畑社長の疑問がきっかけだった。木と土で大工が手作業で建ててきた住宅は、10年ほど前から作業の効率化や品質安定のため、板をはり合わせたり木の粉を接着剤で固めた集成材や新建材が多数使われるようになった。

 「本物の木を長く使ってもらいたいのに、これでいいのか。木材の本当の良さを広く伝えたい」。2000年、インターネットによる無垢材の販売に乗り出した。フローリング材に特化し、関東からも個人客が訪れるようになった。04年には床材を展示したギャラリーも本社に開設、現在ではマツ、ナラ、サクラなど国内外の床材約200種類をそろえる。

 さらに「もっと味わいのある木材がないか」と思いついたのが、古材だった。当時、京都市内では築70年以上の町家が次々と解体され、使い道のない古材はチップに加工され焼却されていた。  


町家などから取り出された古材(京都市伏見区・丸嘉)
 2005年、町家などの古民家の古材を買い取り、販売する古材販売事業を始めた。通常の解体工事では、古材が破損したり、傷がついてしまうため、買い取る場合は、解体前に事前に相談し、専門の解体業者を紹介している。  まだ事業を始めて2年ほどだが、全国から古材を引き取ってほしいという依頼が毎日のように来る。すでに京都市内や関東の飲食店や個人の住宅向けに販売も進んでいる。

 小畑社長は「捨てられるものに、どれくらい需要があるか、値段の付け方も難しいが、木材商だからこそ古材を適正に評価きできる」と自信をみせる。

 全国の中小木材卸会社は、流通構造の変化や大手ハウスメーカーの台頭などで、淘汰(とうた)が進んでいる。一方、ホームセンターなどでも木材が売られるようになった。「もっと一般消費者に近づいて、他にない全国に通じる価値の高いものを提供しなければ生き残れない」と小畑社長。厳しい経営環境の中だが、「古材を譲ってくれた人から感謝されることもある。住む人の思いを今後も大切にしていきたい」と消費者の喜ぶ姿が励みになっている。

[京都新聞 2008年1月20日掲載]

 脈々とものづくりの技が受け継がれている京都と滋賀には、こだわりの技術を磨き上げ、業績を伸ばしている企業が数多くある。大手企業の製品を影で支える京滋の中小企業の独自技術に光をあて、ものづくりの原点を探る。  毎月第3日曜日に掲載します。

≪メモ≫丸嘉
創業1859年、設立1976年2月。資本金1000万円。従業員8人。2008年1月期の売上高は約3億円。07年3月、京都市中小企業支援センターの中小企業を支援する「オスカー認定制度」に認定された。

ギャラリーに展示されている無垢のフローリング材

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