The Kyoto Shimbun

薬使わずガーゼ加工

大東寝具工業(京都市伏見区)

 ふんわりと柔らかいガーゼを何枚も重ねて作った上掛けや布団カバー、パジャマなどの寝具、寝装品。吸水、速乾性に優れ、夏場は汗でべとつかず、さらさらな感触を保てるうえ、冬場は重ねたガーゼの間の空気が保温の役目をして暖かいという。大東寝具工業が寝具、寝装品の新製品として2006年に3年がかりで開発した。昨年、中小企業の有望な事業計画を支援する京都市のオスカー企業認定や府の経営革新計画の承認を受け注目を集める。

 使用するガーゼは、綿布から油や不純物を取り除くさらしの工程で、大量生産品のように薬剤による漂白ではなく、何度も水で洗って4日間、釜の中で生地を寝かしてさらす「和ざらし」の手法で処理されている。

 大東利幸社長(46)は「薬剤を使わないため、アレルギー疾患や化学薬品に敏感な人に安心して使ってもらえる。わが社の柱の一つにしていきたい」と期待を寄せる。

 和ざらしは名古屋市の業者が行い、注文を受けてから同社の工場で縫製を行う。1カ月平均で約150点が売れ、京都の老舗料理旅館が使用を検討したり、大手メーカーからタイアップが持ちかけられているという。  


多品種少量生産のため注文を受けてから製造される布団(京都市伏見区・大東寝具工業)
 同社は、下京区で大東ふとん店として大正14(1925)年に創業した。当初は、関西の主要な寝具メーカーや室町の問屋などから注文を受けて、布団や座布団などを製造していた。

 しかし、80年代後半から、中国で安価な製品が作られるようになり、流通形態も専門店から通信販売やスーパーなどに変化。そのあおりを受けて、売り上げは次第に頭打ちになった。雑貨やインテリア事業などに進出するほか、2001年からインターネット通販を開始。これが当たり、寝具業界の市場規模が縮小する中で売り上げを伸ばし、ネット通販は売上高の6割前後を占めるまでになった。

 ネット通販では、自社製品のほか中小メーカーの製品を紹介。顧客の声が直接届き、求めている商品が何なのかが分かるようになり、「他社にはない、独自の製品を開発する必要性を痛感するようになった」(大東社長)という。寝具業界では、需要が冬季に集中するのが課題。夏季に売れる商品を検討し、安心、安全にこだわったガーゼを使った商品の開発に行き着いた。

 同社は、さらに「京座布団」作りのノウハウを生かして、発泡エチレンビーズを詰めた三角すい型の「座いすクッション」も開発。座り方によって自然に背もたれが生まれる仕組みで、ガーゼを使った寝具・寝装品とともにヒット商品に成長させようと力を入れる。

 大東社長は「しっかりとしたもの作りにこだわらないと、中小企業は生き残れない。培ってきた技術を生かして今後も新しい商品を提案し、売上高を3年で倍増させたい」と意気込んでいる。

[京都新聞 2008年2月17日掲載]

 脈々とものづくりの技が受け継がれている京都と滋賀には、こだわりの技術を磨き上げ、業績を伸ばしている企業が数多くある。大手企業の製品を影で支える京滋の中小企業の独自技術に光をあて、ものづくりの原点を探る。  毎月第3日曜日に掲載します。

≪メモ≫大東寝具工業
1963年に会社設立。資本金1000万円。従業員18人。2007年7月期の売上高は約3億5千万円。寝具、寝装品のほかカーテンなどのインテリア関連の製造、卸、販売を行う。インターネットの三次元仮想空間セカンドライフに店舗をオープンしている。

薬剤を使わない昔ながらの和ざらしのガーゼ地で作られたローブや上掛け

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