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「お坊さんがバイクに乗る」ワケ | |||
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お坊さんにはバイクがよく似合う。袈裟(けさ)をなびかせ颯爽(さっそう)と街を駆ける。その姿は京都の風物詩といってもいいだろう。最も好まれているのはスクーターだが、なかには大型バイクを乗りこなす「お坊さんライダー」も。バイクを使ってボランティア活動しようという活動派の僧りょもいる。お坊さんとオートバイの親密な関係を探る。 (社会部 目黒重幸)
大徳寺(京都市北区)塔頭・正受院の住職、福代孝道さん(43)は、スクーター愛好者だ。「渋滞が多く細い路地のある京都には、スクーターが一番。駐車のスペースも心配しなくてすむので、檀家回りにはこれが欠かせません」と便利さを強調する。 かつて檀家回りの最中にパンクしてあせった経験があって、予備のバイクを含め三台も所有している。二十年近くの二輪ライダーだが、事故は一度もない。「仏様が見守ってくれているのかな」と思う毎日だ。 スクーターが人気の理由はほかにもある。法華寺(京都府亀岡市本町)の住職、杉若恵亮さん(39)は「袈裟を着ていると、またぐタイプは乗れない。それにスクーターはひざから足にかけて風防が付いているので、袈裟の合わせが乱れない」と、ならではの理由を説明する。先の福代さんも「スクーターの登場は画期的だった」と振り返る。
「確かに京都はスクーターに乗るお坊さんが非常に多いですね」と話すのは、大手メーカー・ヤマハ発動機(本社・静岡県磐田市)広報室の尾鍋文光さん(32)。自身も京都市出身の尾鍋さんは、京都ならではの交通事情に理由を求める。 「渋滞や一方通行だけでなく、碁盤の目の京都は一時停止がやたらと多い。最も発車の加速に優れているのが、中型のスクーター。檀家を効率よく回ろうと思えば、スクーターが一番便利なのです」。
なかにはその加速にとりつかれた僧りょも。伏見区でバイクの整備販売店を営む小林寛照さん(38)さんは、こんな客を知っている。「隣のスクーターにスタートダッシュで負けたからと、お坊さんから法基準で許される範囲内で改造を頼まれた。後日『今度は勝った』と喜んで報告に来られましたよ」。このお客を、「暴僧」ライダーと呼んでは失礼か。 お坊さんとバイクの関係はスクーターだけにとどまらない。前出の杉若さんは、毎月、お坊さんと市民が語らう会「ボンズクラブ」を主催する行動派。一昨年、米国製大型バイクのハーレー・ダビッドソンをようやく手に入れた。 「十代のころからのあこがれでした。お坊さんとハーレーは結びつかないかもしれないが、仏僧もありのままの人間なんだと知ってほしい」と杉若さん。「ヘルメットをとってもヘルメットや」とからかわれながらも、モーターライフを楽しんでいるという。
速度の“煩悩”もまた楽し オートバイを社会のために役立てようというお坊さんもいる。宝蔵寺(中京区)の住職、石川法縁さん(56)は「カミナリ族のころからのバイク好き」。いまも炎の絵を描いた四百ccのアメリカン・スタイルが愛車だ。 現在、バイクを使ったボランティア組織の発足準備に忙しい。「機動力のあるバイクを使ってお年寄りの家を訪ね、世間話や介助をする予定です。人を助けるという仏教本来の教えを、バイクを通じて実践できたら」と青写真を描く。 あるお坊さんが言った。「バイクは自動車に比べ、人とのふれ合いが多いから好きなんです」。確かに、高級車を乗り回す僧りょより、バイク乗りのお坊さんの方が親しみもわく。仏の道を歩む現代のお坊さんにとって、二輪は大きな武器になっているようだ。 |